日露の子供たちで興味関心を共有
「すでにハワイやシンガポールなど、海外在住者の参加実績もあります。ロシアで『子供の科学』というブランドが広まっていけば、海外渡航が難しいコロナ禍にあって、オンラインイベントに参加してくれる子も増えるでしょう。そこで日露の読者同士に交流してもらえればすごく楽しいし、国境を越えて同じ興味関心をもった友達ができれば素晴らしいと思います。」
徹底ローカライズを可能にした翻訳家集団
コルチュギン氏「まず誠文堂新光社が創業100年以上ということに感心しました。ロシアには100年も続いているビジネスはないので、それだけで強い印象を与えます。私には子供が2人いて、子供の同級生の親と話していると、いかにスマホを取り上げるかという話題になります。ロシアでは日本と違って小学校でスマホが禁止されていないので、長い休み時間でも、外に遊びに行かないで座ってゲームしていたりします。脳を発達させるには、まずは紙の本、文章を読むことです。その意味でこの雑誌は宝のようなもの。親として子供に一番良いものを与えたいと思うのは当然です。短期的な利益を目指すのでなく、ロシアで知られ、読まれ、愛されるように努力したいです。」
コルチュギン氏「ロシアは90年代、経済状況が厳しく、日本語を勉強した人はほぼ全員が旅行ガイドになりました。比較的良いお金になったからです。なので、この世代の翻訳者がごっそり抜け落ちています。私は、安心して任せられる翻訳チームを、15年間かけて作り上げました。日本や日本文化を心から愛している、日本語能力試験N1(最上級レベル)のメンバーばかり。若い人が多く、中には20歳前後の人もいます。私自身も驚いているのですが、IT関係者がたくさんいます。プログラマーにとっては日本語を勉強するのはそんなに難しくないようで、非常に早いスピードで日本語を習得します。AIなどのテーマは、本物のエンジニアが訳していますよ。」
販売はオンラインに注力、地方の読者に期待
「今ロシアで売られている子供向け科学雑誌は、テーマ設定が狭くて、特定分野に特化しているため、理論の説明など、とても専門的です。その点、子供の科学は万華鏡のようで、天文学とか数学、化学、ITなど、情報量とそのテーマの多様さにおいて類似した雑誌はロシアにありません。そして、その理論が、生活のどんなシーンで実際に使われているかを示してくれるので、どんな子供でも、興味のあるテーマを見つけることができます。子供には世界がどんなに広くて豊かか、面白いものであふれているかを見せたいのです。」