カーン氏は、「車を持っていないロンドンの低所得者層は、気候変動の影響を真っ先に受けている」と説明しており、ロンドン交通局(TfL)に対し、走行距離や時間、場所によって料金を定めるシステム作りを要請している。しかし、このシステムを運用するまでには長い時間がかかる上、カーン氏の2期目の任期は2024年5月までであることから、同氏は運転者から料金を徴収するための一時的な方法を検討するようTfLに指示を出した。
その一時的な方法として、ロンドン全域を走る全ての車に対して1日当たりの料金を設定する、超低排出ガスゾーン(Ulez)内の移動に12.5ポンド(約2000円)、Ulezを拡大するなどが検討されている。また、電気自動車など環境に配慮した車は対象外となる。
環境保護活動家はカーン氏のこういった計画を支持しているが、自動車愛好家は批判している。英王立自動車クラブ(RAC)の道路政策責任者であるニコラス・ライズ氏は、カーン氏の提案は、車を所有するロンドン市民に大きな財政問題を引き起こし、電気自動車を買えない人々にとっては「罰」になりかねないと指摘している。
仏パリのアンヌ・イダルゴ市長は2021年、排ガスを規制する目的で、パリ市内の車両走行の制限速度を時速30キロに引き下げる規制を導入したが、現地の自動車所有者はイダルゴ氏の方針に否定的な反応を示している。