これまでの研究でも、スプートニクVがオミクロン株に対して非常に効果的であることがすでに示されている。同様に研究は、ロシア製ワクチンを接種した場合、他のワクチンと比べ抗体レベルの低下がより小さく、ゆっくりであることも示されている。
研究者らは、サイト「medRxiv」で発表された中間比較研究でファイザー社およびバイオエヌテック社製のмРНКワクチンとロシア製ワクチン「スプートニクV」を比較した。研究目的は、「オミクロン株」に対する両ワクチンの効果を調査することにあった。
オミクロン株に対する中和抗体価
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この研究は、ローマの研究施設で12人の専門家らが実施したもので、その際、両ワクチンの接種を受けた人たちの血清サンプルが使用された。また、これらの人々はIgG抗体(免疫グロブリンG)のレベルが同じで、武漢ではじめて記録されたコロナウイルス変種に対する抗体の中和能力も同じであった。
スプートニクVはファイザー社製ワクチンの接種と比較して、オミクロン株に対する中和抗体が全体で2.1倍超、接種後3カ月で2.6倍超となることが確認された。
研究者らは、RBD(受容体結合ドメイン)に特有の抗体IgGの基本レベルの調査に注目した場合、血清サンプルの25%未満に関しては、スプートニクVの接種者が抗体の最高値100%を示し、ファイザー製ワクチンの接種者では83.3%だったと指摘した。
オミクロン株に対する中和抗体価
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スプートニクVがオミクロン株に対して強力な反応を示す理由の1つとして、非常に多くの中和抗体の生成が上げられる。一方、ファイザー製ワクチンは、プロリンが安定したSタンパク質を使用し、オミクロン株の場合、通常はウイルス変異によって変形した抗原分子の特定の部分を標的としている。
ロシア製ワクチンは、キャリアである2種類のアデノウイルスベクターが使用され、ヒトアデノウイルスベクターのプラットフォーム自体が感染の模倣に優れているという利点をもち、「スプートニクV」の異種プライムブースト技術もその役割を果たしている。
サイト「medRxiv」に掲載されたスパランツァーニ実験研究所とガマレヤセンターの報告では、このアプローチがもっとも効果的であると言及している。「今日、3回目のブースター接種が必要なのは明白だ。そして、いくつかの研究ですでに実証されているもっとも効果的なアプローチは、新型コロナ用ワクチンのスプートニクVではじめて適用された種類の異なるワクチンのブースター接種だ」
同様に、イタリアとロシアの共同研究は、ガマレヤ研究所が先行して実施した研究結果を立証しており、その報告は2021年12月に発表されている。それによれば、スプートニクVはオミクロン株に対して高いウイルス中和活性を有している。
ブースター接種における万能性
デルタ株の感染拡大後、すぐにオミクロン株が広がり、理想的なブースターワクチンの世界的探究が始まった。ロシア直接投資基金(RDIF)によると、これにもっとも適しているのが「スプートニクライト」だという。
ワクチン「スプートニクライト」は、組換えアデノウイルスベクター血清型26(rAd26)(2回接種タイプのスプートニクVの第1成分としても使用)をベースにした1回接種タイプのワクチン。ロシア保健・社会開発省は、ワクチンの初回接種の6ヶ月後のブースター接種としてスプートニクライトを使用することを推奨している。
アルゼンチンおよび他の複数の国における臨床試験の肯定的なデータは、他のメーカーのワクチンのブースター接種に使用したスプートニク・ライトの高い安全性と免疫原性を示している。デルタ株に対する他のワクチンのブースター用にスプートニク・ライトを使用した場合の有効性は、スプートニクVのデルタ株に対する有効性に近くなる。感染予防効果は83%超、入院を防ぐ効果は94%超。
スプートニクVは、総人口が40億人にのぼる71ヵ国での使用が承認されており、最近ではオーストラリアがロシア製ワクチンの使用を許可している。