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北京五輪:フィギュアスケート「高揚感が予期せぬ結果を出すことも」

北京五輪の開幕まであとわずか。今回の五輪はきわめて異例の大会となる。スポーツ界の祭典であるオリンピック競技大会は、今回も新型コロナウイルスによるパンデミックのため、無観客で行われる。また出場選手らはいわゆる「バブル方式」と呼ばれる一般市民との接触を避ける形で滞在し、毎日、PCR検査を受けなければならない。
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このように、北京五輪のフィギュアスケート競技の表彰台をめぐる争いは、興味深いものになることは間違いない。また五輪では、主要選手はもちろん、まだ重圧の少ない若手選手にも期待がかかる。
大きな責任がないという心理的な状況は、よい演技を見せる重要な要素になるとラジオノワ氏は指摘する。しかし、このような特殊な状況も、選手たちのメダル争いを邪魔するものではない。そしてスポーツファンたちは、今からどの選手が金メダルを獲得するのかについて予測を立てている。
ロシアフィギュアスケート選手権2022
2021年12月28日, 20:59
フィギュアスケートの女子シングルでは、3人のロシア人選手(ワリエワ、トルソワ、シェルバコワ)のメダル獲得にきわめて大きな期待がかけられている。中でも、金メダルにもっとも近いとされているのが、カミラ・ワリエワ(15)である。
ワリエワはシニアデビューを果たした今シーズン、最高得点を叩き出し、フリープログラムでも、ショートプログラムでも、世界記録を更新した。専門家らは、ワリエワは類稀なる才能を持つ選手であると指摘しており、その演技構成、スピンの美しさ、そしてもっとも超高難易度のジャンプに対しては、最高の評価が与えられている。
北京オリンピック・フィギュアスケート競技日程
そんなワリエワも、エストニアのタリンで開催された欧州選手権2022では、トリプルアクセル(3回転半)で転倒するという予期せぬミスをおかし、北京五輪をベストコンディションで迎えることができるのかと懸念された。
これに関して、「スプートニク」は、世界で初めて世界ジュニア選手権を2度制したエレーナ・ラジオノワ氏にお話を伺った。
ラジオノワ氏は、ワリエワは(低年齢にもかかわらず)、かなり安定した演技を見せており、大会への出場を重ねるごとに、さらなる経験を積み、ますます大きな自信を獲得しているのは明らかだと指摘する。

「ワリエワのトリプルアクセルは、技術的には完璧です。彼女のトリプルアクセルは高さがあり、着氷が非常に柔らかく、本当に素晴らしいです。ワリエワは氷上のバレリーナのようです。フリー演技で予期せぬ転倒がありましたが、何らかのミスによって引き起こされたものではなく、ちょっとした偶然だと思います。本人も転倒するとは思っていなかったようで、外から見ていても、理想的なジャンプに見えました。ただ踏み切る際に、ちょっと足が滑ってしまったようです。フィギュアでは珍しいことではありませんので、この転倒を大げさにとらえる必要もなければ、彼女のコンディションを心配する理由にもならないと思います」。

ワリエワはジャンプでも、こちらも非常に才能ある「ロシアのロケット」、アレクサンドラ・トルソワ(17)を超えている。羽生結弦も、トルソワの4回転に対するこだわりには感銘を受けたと述べている。しかし、今シーズン、ワリエワは大会でトリプルアクセルと数種類の4回転を成功させた。しかも、そのいくつかは、より難易度が高いコンビネーションで決めている。一方のトルソワは、(ショートプログラムで)トリプルアクセルを公式試合ではまだ成功させていない。そこで、今回のオリンピックでもトリプルアクセルをプログラムに入れてこない可能性もある。
しかし、ラジオノワ氏は、いずれにせよ、ワリエワと「ロシアのロケット」の2人の演技にはこれまでにないほど注目が集まっていると述べている。

「トルソワはとても意思が強く、粘り強い性格です。断言はできませんが、今大会、5つのジャンプを成功させるという夢を捨てていないように思います。4回転は彼女の持ち味です。ですから(これまでの試みではミスしているものの)その目標を下げず、自らの夢を実現するための試みを続けると思います。オリンピックというのは、どの選手にとってももっとも重要な大会であることから、この夢が今回のオリンピックで叶えられることを期待するのは当然のことです。トルソワは『ロシアのロケット』です。ものすごい高いジャンプを見せてくれるチャンスは十分にあります。演技構成もかなり難易度を上げてきています」。

トルソワは、このオリンピックシーズンに、2つの新プログラムを披露した(メキシコの女性画家を描く映画「フリーダ」の音楽、映画「クルエラ」の音楽)。いずれのプログラムのイメージもトルソワに非常にマッチしている。
しかし、忘れてはならないのは、オリンピックの結果は、ときにまったく予期せぬものになることがあるということである。大会の結果はコンディションだけでなく、選手の精神力にも左右されるからである。たとえ、大会を前に100%の状態に仕上がっていても、緊張に勝てないこともある。
もう1人のロシア選手、アンナ・シェルバコワ(17)がロシア選手権を3度制し、2021年の世界選手権で金メダルに輝いたのは、まさにこの精神力の強さによるものでもある。そのことを考慮すれば、それほど難易度の高いジャンプは持っていないとはいえ、ワリエワとトルソワとともに、金メダル争いに加わってくる可能性は十分にある。
一方、表彰台に上がるというこの3選手の夢を阻む可能性を秘めているのが、日本人選手だとラジオノワ氏は言う。

「日本の女子シングルは、ロシア同様、大きな成長を遂げています。日本の選手たちは非常に質の高い、技術的な滑りを見せ、また難易度もかなり高くなっています。ですから(今回、紀平梨花は出場しないものの)北京五輪でのロシア勢の主なライバルとなるのは日本人選手だと思います」。

しかも、日本人選手は常に、女性らしく、美しい演技を見せ、多くの人々を魅了している。
ラジオノワ氏は、高難度の技術と表現力豊かな滑りという理想的な演技を見せてくれるのが、日本の男子選手の主力選手である羽生結弦(27)だと指摘する。

「羽生結弦は本当に偉大な選手です。彼はすでにオリンピックで2度の金メダルを獲得し、フィギュアスケートの歴史に名を刻んでいます。それでも、今回のオリンピックで再び、米国のネイサン・チェン(22)との金メダル争いに挑むと決めました。羽生とチェンは、それぞれのチームのリーダーで、どちらにも金メダルの可能性があります。ただ、チェンは、羽生と異なり、まだオリンピックチャンピオンというタイトルを持っていないことから、おそらく秘めたる目的を達成しようという決意に満ちていると思われます。ですから、羽生は(チェンに勝ち、3連覇を達成するため)クワドアクセル(4回転半)に挑戦するという賭けに出る可能性があると考えています。個人的にも、それを見たい気持ちがあります。そしてそれが成功すれば、フィギュア界における大快挙となります。ただ、忘れてはならないのは、オリンピックでは、ミスのない演技にのみ高得点が与えられるということです」。

そこで、4回転半に挑むかどうかは、ショートプログラムでの得点を考慮した上で、コーチと共に決めることになる。
このように、北京五輪のフィギュアスケート競技の表彰台をめぐる争いは、興味深いものになることは間違いない。また五輪では、主要選手はもちろん、まだ重圧の少ない若手選手にも期待がかかる。
大きな責任がないという心理的な状況は、よい演技を見せる重要な要素になるとラジオノワ氏は指摘する。

「新しい選手たちは、オリンピックの出場選手に選ばれたということ自体に喜びを感じています。そうした高揚感が思いもよらない結果を生むことがあるのです」。

そこで、今回の北京五輪では鍵山優真(18)が2位に入る可能性があると予測する評論家もいる。鍵山は2020年にユース五輪で金メダルを獲得しているが、シニアのオリンピック大会では新しい選手である。フィギュアスケート競技が開始し、誰がメダルを獲得するのか、今から楽しみだ。
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