「ワリエワのトリプルアクセルは、技術的には完璧です。彼女のトリプルアクセルは高さがあり、着氷が非常に柔らかく、本当に素晴らしいです。ワリエワは氷上のバレリーナのようです。フリー演技で予期せぬ転倒がありましたが、何らかのミスによって引き起こされたものではなく、ちょっとした偶然だと思います。本人も転倒するとは思っていなかったようで、外から見ていても、理想的なジャンプに見えました。ただ踏み切る際に、ちょっと足が滑ってしまったようです。フィギュアでは珍しいことではありませんので、この転倒を大げさにとらえる必要もなければ、彼女のコンディションを心配する理由にもならないと思います」。
「トルソワはとても意思が強く、粘り強い性格です。断言はできませんが、今大会、5つのジャンプを成功させるという夢を捨てていないように思います。4回転は彼女の持ち味です。ですから(これまでの試みではミスしているものの)その目標を下げず、自らの夢を実現するための試みを続けると思います。オリンピックというのは、どの選手にとってももっとも重要な大会であることから、この夢が今回のオリンピックで叶えられることを期待するのは当然のことです。トルソワは『ロシアのロケット』です。ものすごい高いジャンプを見せてくれるチャンスは十分にあります。演技構成もかなり難易度を上げてきています」。
「日本の女子シングルは、ロシア同様、大きな成長を遂げています。日本の選手たちは非常に質の高い、技術的な滑りを見せ、また難易度もかなり高くなっています。ですから(今回、紀平梨花は出場しないものの)北京五輪でのロシア勢の主なライバルとなるのは日本人選手だと思います」。
「羽生結弦は本当に偉大な選手です。彼はすでにオリンピックで2度の金メダルを獲得し、フィギュアスケートの歴史に名を刻んでいます。それでも、今回のオリンピックで再び、米国のネイサン・チェン(22)との金メダル争いに挑むと決めました。羽生とチェンは、それぞれのチームのリーダーで、どちらにも金メダルの可能性があります。ただ、チェンは、羽生と異なり、まだオリンピックチャンピオンというタイトルを持っていないことから、おそらく秘めたる目的を達成しようという決意に満ちていると思われます。ですから、羽生は(チェンに勝ち、3連覇を達成するため)クワドアクセル(4回転半)に挑戦するという賭けに出る可能性があると考えています。個人的にも、それを見たい気持ちがあります。そしてそれが成功すれば、フィギュア界における大快挙となります。ただ、忘れてはならないのは、オリンピックでは、ミスのない演技にのみ高得点が与えられるということです」。
「新しい選手たちは、オリンピックの出場選手に選ばれたということ自体に喜びを感じています。そうした高揚感が思いもよらない結果を生むことがあるのです」。