WADAは、「この決定がなされた根拠は、CASの職員が、強制的な暫定的出場停止処分の解除基準に関して、明確かつ不明瞭ではない規程である世界アンチ・ドーピング規程を無視する決定を下したことを確認するものになっている」と声明で発表した。
CASの訪問団による今回の決定は、「保護対象者(16歳未満のアスリート)」に対する出場停止処分は強制的なものではなく、任意とすることを意味し、そのためこの決定は規程違反であるとWADAは指摘している。そしてWADA は、16歳未満の者がドーピング検査で陽性反応が出ても、その状況を明らかにすることなく競技参加できる前例ができたと述べている。
15歳のワリエワは、北京冬季五輪の団体戦でロシアチームとして優勝。個人戦ではショートプログラム終了時に首位に立ち、その後のフリースケーティングとの総合で4位となった。
7日、北京冬季五輪フィギュアスケート団体でロシアが金メダルを獲得した。米国は2位、日本は3位だった。ドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)は11日、団体のメダル授与式について、ロシアのカミラ・ワリエワ(15)の昨年12月25日に採取された検体がドーピング検査で陽性だったため、延期されたと発表した。ワリエワは2月8日、RUSADAから2022年北京冬季五輪の出場停止処分を科された。しかしその翌日、ワリエワの出場停止処分は解除された。
CASは14日、ワリエワ選手をめぐる件について、国際オリンピック委員会(IOC)、国際スケート連盟(ISU)、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の申し立てを棄却し、ワリエワは北京五輪の個人種目に出場できると発表した。