ウクライナでの露特別軍事作戦

日本からウクライナへの衛星データ提供「ロシアは軍事参加とみなすおそれ」露専門家に聞く、対露制裁の影響

17日、Nikkei Asiaが報じたところによると、ロシア軍の動きをより正確に把握するため、ウクライナが日本へ衛星データの提供を求めていることがわかった。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、「衛星データの提供は防弾チョッキとはレベルの違う話。もし応じれば、ロシアからすれば日本が軍事行動に直接参加したとみなす恐れがある」と警鐘を鳴らす。
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Nikkei Asiaによれば、ウクライナ側が求めているのは、高い解像度の地表画像。日本は、SAR(合成開口レーダー)を搭載した衛星を運用しており、天候や大気中の障害物にかかわらず、鮮明な画像を取得できる。このタイプの衛星は官民それぞれで運用されているが、画像の使用目的を考慮すれば、提供可否の決定は日本政府が下すことになるだろう。キスタノフ氏は次のように指摘する。

「この衛星に搭載されたレーダーは、様々な悪条件にも関わらず鮮明な画像を取得できるという特に高い技術水準のものであり、それを提供するということは、ロシアからすれば、間接的ではない軍事行動への参加とみなす懸念があります。日本は非常に危ない一線に近づいてきているという気がします。日本は自衛隊の防弾チョッキとヘルメットをウクライナに提供しました。自衛隊の装備を提供するというのは過去に例のないことです。これにも驚きましたが、それに加えて衛星データまでとなると、例えば、このようなことが考えられます。日本は中国との間に尖閣諸島問題を抱えており、ロシアはこの問題に関してこれまで中立の立場をとってきました。もちろん起こってほしくないですが、日中間で何か起こったとき、鏡のような対応を取る―、つまりロシアが中国側につく可能性が出てくる、日本にはそこまで考慮してもらいたいと思います。」

日本は16日にWTOの枠組みである「最恵国待遇」からロシアを除外すると発表した。これにより水産物の関税率が、最恵国待遇から基礎関税率へと変わる。ただし、もともと関税のかかっていなかったLNG(液化天然ガス)や石炭などのエネルギーは対象外で、影響はない。
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また、日本は更なる対ロシア制裁として18日から、輸出を原則禁止とする品目を300品目まで拡大した。新たに輸出禁止となったのは、トラックやトラクターに使われる高出力のディーゼルエンジンや、産業用機械の制御に関わる半導体、通信装置やセンサーなどだ。キスタノフ氏は、これらの措置がもたらす影響について次のように述べている。

「日本からの輸出禁止について言えば、もちろん当面はロシアにある程度のネガティブな影響をもたらすでしょうが、もともと日本からロシアに大きなテクノロジーの流れがあるわけでもなく、多くは日系企業の現地工場向けの輸出なので、ロシアは代替を見つけるでしょう。それらの措置の他にも、日本は、ロシア中央銀行が日本国内に持つ資産を凍結しました。凍結額は約3兆8000億円にのぼり、ロシアの外貨準備の6パーセント近くにあたります。こういったことからも、日本がG 7と足並みを揃えて、可能な限りのあらゆる手段で、制裁に加わっていることは、当然日露関係に非常にマイナスな影響を与えます。これは日本がアメリカの影響下にあることを改めて示すものです。その一方、エネルギーの例からもわかるように、日本は自国に、制裁の影響が大きく跳ね返ってこないよう、注意深く選んでいることもわかります。」

そして、長きにわたって続けられてきた日露間の「8項目の経済協力」の継続は絶望的になっている。キスタノフ氏は、「エネルギー関係のプロジェクトには、日本は、8項目の経済協力があってもなくても参加していた。8項目の経済協力は、日本がプーチン大統領に強い印象を与え、領土問題において譲歩を引き出すためのものだったにすぎない」とし、このプロジェクトが終了したとしても、実質的な影響は少ないとみている。
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