3月15日、自民党・茂木敏充幹事長も自民党と公明党がそろって、高齢者への給付金支援を申し入れたことを明らかにした。
自民党・茂木敏充幹事長:「きょうはですね、自民公明の幹事長、政調会長としてですね、年金生活者の方を中心にした支援策について、総理のほうに申し入れをさせて頂きました」
今回の給付金支給案は総額1300億円に上るとされている。ところが共同通信の行った世論調査では、突然降ってわいた「臨時」の「特別」給付金を日本国民は歓迎していない。FNNがこの週末に行った世論調査でも「支給すべき」は41,2%であったのに対し、「支給すべきでない」は54,5%と半数以上をしめていた。
与党が岸田首相に要請した年金受給者1人当たり5千円程度の給付金支給は批判の高まりを受けて見直され、党に返上されるものとみられている。
批判の大半は、この政策が今夏の参議院選挙に向けた「露骨な選挙対策」であるというものだ。新型コロナウイルスの影響で、働き盛りの世代の賃金が低下している。これに伴って年金の支給額は、今年6月の支給から年間約5000円ずつ減額される。5000円の特別手当は、選挙前に年金削減分を相殺し、選挙の行方を握る高齢者の不満を払拭することを目的としている。
名称のとおり「一時的な」「特別な」恩典が突然降ってわくことは歓迎されはしない。この政策は、今夏の参議院選挙に向けた「露骨な選挙対策」であるという声が多い。一方で働き盛り世代の収入は、新型コロナウイルスの影響を被って低下している。
日本の専門家らは不満の理由を次のように指摘している。
たとえば東京青年会議所の室橋祐貴代表理事の見解はこうだ。
「5千円支給、それでも3分の1は『適切だと思う』のですね…。回答者の年代による違いが気になります。単純に考えれば、高齢世代の方が賛成割合が高く、政策の意思決定層も高齢世代、その周辺にいる支援者も高齢世代と、まさにシルバーデモクラシーです。この意思決定の歪みを矯正しなければ、いつまで経っても目先の効果しか見ないような、高齢」
東洋大学生活ライフデザイン学部支援学科の高野龍昭准教授は、支給は 理論的にはこれまで20年間、高齢者に対してとられてきた政策の延長上にあるとして次のように語っている。
「年金額を改定する『マクロ経済スライド方式』は、実質的な物価や賃金の変動と年金支給額を連動させ、緩やかに年金の給付水準を調整しようとする仕組みです。これは、現役世代の年金保険料の負担増を抑制しつつ年金制度を持続可能にすることを目的として、2004年度に導入されています。この方式自体の賛否はありますが、20年近く前に決まっている仕組みを『ちゃぶ台返し』のように扱い、年金額のマイナス分を公費で穴埋めする形で年金生活者1人あたり5,000円を支給する施策を講じることは、いささか唐突な印象が拭えません。さらに、コロナ禍対策と言いつつ、高齢者だけを対象とすることや、対象者の状況(困窮の度合いや日常生活の不自由さなど)に関わりなく支給する点など、高齢者福祉を専門とする私の立場から見ても、合理性に乏しいと感じます。これは、いわゆる『シルバー民主主義』の弊害のひとつと言ってよいのかも知れません」
こうした一方で一般のネットユーザーはこの政策への不満をあからさまに表している。
「政府の職務は国民と経済の安定が第一です。この30年間、理由を付けては予算を組みバラマキ政策を行ってきましたが、景気も少子化も下降の一線です。議員一同『費用対効果』の講義を受けた方が良いのではないでしょうか? 今一番経済的に困窮しているのは子育て世代と若年層です。そして投票率が高く、周囲の情報に影響を受けるのが高齢者です」
「私も老人ですが、5000円はいりません、私も生活は楽ではないが無職の若者や無職の母子家庭にあげた方が良いと思います。生活に困っている人を応援することが必要で、ある一定の期間は定期的に支給をしてあげれば良いと思います。お金がないと本当に寂しいと思います、国からの援助で自分は一人ではないと実感できると思います、国際援助も大切でありますがもう少し国内にも目を向けて欲しいです」
今、日本の政府は選挙を前に高齢の投票者に忠誠を示すか、それとも大半の国民の意見に耳を傾けるかの選択を迫られている。
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