研究者らは、長期間にわたって、ジェフロイクモザルの行動を観察し、サルが食用に選ぶ果実を詳しく調査した。そこで研究者らは、サルがもぎ取ったすべての果実には、果肉が発酵するときに発生する1〜2%のエタノールが含まれていることを突き止めた。またサルの尿からエタノールの二次代謝産物が検出されたことから、研究者らは、これはアルコールが霊長目の代謝に直接関与していることを証明するものであると主張している。霊長目は一つ一つの果実のにおいを注意深く嗅いでおり、これを見た研究者らは、エタノールのにおいをヒントに、サルたちがもっとも熟した果実を探しているのだと説明している。
研究論文の執筆者らは、「野生の霊長目が人間の力を借りることなく、エタノールを含んだ果実を摂取していることを初めて証明することができた」とし、ヒトがアルコールを好むのは、成熟した果実から自然に出るエタノールを摂取しているサルから受け継がれたものだという結論に達したとしている。一方、米国の研究者らは、人間にとっては重要なアルコール摂取による「酔う効果」をサルが感じることはないとの見方を示している。研究者らは、熟した果実にはより多くのカロリーが含まれているとして、サルが熟した果実を選ぶのは、より多くのエネルギーを補給するためであると結論づけている。
米国の研究者たちが、少量のアルコールが心臓の健康によいとする研究に疑問を投げかけたというニュースは「スプートニク」の過去の記事よりお読みいただけます。