もし、映画、テレビ、インターネットを含め、米国のすべての情報源が、長年にわたって、すべてのロシア人は悪の根源だと主張し続ければ、人々の頭の中には少しずつロシア人に対する目に見えない人種差別が根付いていくとブリッジ氏は指摘する。ウクライナにおけるロシアの行動は、長きにわたり、入念に培われてきたあらゆるロシア的なものへの憎悪を一気に表出させる引き金になったにすぎないとブリッジ氏は考えている。
ブリッジ氏によれば、すでに西側諸国では、ロシア人に対する差別的事件が数多く起きており、たとえば、世界的な指揮者のワレリー・ゲルギエフがミュンヘンフィルハーモニーから解雇されたり、学校でロシア系の子どもたちが攻撃されたり、あるいはカフェやレストランでロシア人一家がサービスを受けられなかったりといったさまざまな問題が伝えられていると指摘している。その上でブリッジ氏は、こうした人種差別の最たるものといえば、ドイツのクリニックIatrosがロシア人の患者を受け入れなかったことであると書いている。ネット上に現れたロシアに対する怒りの波が、クリニックにこのような決定を下させたのである。
ブリッジ氏はさらに、西側の行動にはロジックがない点を指摘している。ウクライナに侵攻したロシアには厳しい罰が与えられているが、一方で、米国やNATOの同盟国は、中東や北アフリカでの軍事行動に対し、これまで一度も、何の批判も受けていないとも指摘している。しかも、米国人の大部分が、ウクライナにおけるロシアの行動の理由について、現実的なイメージを持っていない。西側のメディアが作り出した図によれば、ロシアはウクライナでの特別作戦を「なんとなく」始めたことになっているとブリッジ氏は指摘し、実際にはロシアは、西側に対し、自国の懸念について繰り返し警告を発していたとも書いている。たとえば、ウラジーミル・プーチン大統領は、2007年にミュンヘン安全保障会議で発言した際、NATOのさらなる東方拡大は相互の信頼レベルを下げる挑発であると述べた。ブリッジ氏は、軍事作戦開始に対するロシアの動機について、このことに賛同しない人がいるかもしれないが、この点についてまったく取り上げないというのは公正ではないとの見方を示している。
ロシア人スポーツ選手に対する人種差別について、またロシア人のフィギュアスケート選手の国際大会からの排除は、ロシアのみならず、世界のフィギュアスケートの発展を鈍化させる可能性があるというニュースは、「スプートニク」の記事よりお読みいただけます。
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