ウクライナでの露特別軍事作戦

モスクワでNATOの残虐性を語る展覧会開催中、ウクライナから持ち帰った軍服や広島長崎の展示も

モスクワ中心部に位置するロシア現代史博物館で、特別展「NATO:残虐性の年代記」が5月10日まで開催中だ。NATO(北大西洋条約機構)は1949年、ソ連・共産圏との対立が増す中で、米国・英国を中心に結成された軍事同盟である。展示は9つのセクションに分かれており、1999年のNATO軍によるユーゴスラビア空爆をはじめ、20世紀後半~21世紀初頭に世界の様々な地域で行われてきた地域軍事紛争について紹介している。また、ロシアによる特殊軍事作戦が進行中のウクライナから運ばれてきたばかりの、兵器の一部やウクライナ軍の軍服など(ロシア国防省提供)も展示されている。
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ウクライナから持ち帰ったものの中には、対戦車ミサイル「NLAW」の輸送発射コンテナ(イギリスとスウェーデンの共同開発)、ポータブル式の爆発物探知機(アメリカ製)、通信傍受機器コンプレックス(アメリカ、日本、中国、アイルランド製)などがある。
対戦車ミサイル「NLAW」の一部
特に、ウクライナ国旗がついた軍服、兵士の生年月日や血液型が記されている認識票は、高い関心を呼んだ。展示品の解説文によると、軍服は、NATOのスタンダード仕様にのっとって作られたものであると書かれている。
ウクライナ兵士の軍服、認識票
その隣には、アゾフ大隊の旗とアメリカ国旗が一緒に展示されており、アメリカ国旗には銃撃の跡がある。アゾフのロゴが入ったナンバープレートやワッペン、認識票も展示されている。今月4日、公安調査庁は「国際テロリズム要覧2021」における、同隊に関する記載を削除した。公安調査庁は、「国際テロリズム要覧は、公開情報を取りまとめたもの」「公安調査庁が「アゾフ大隊」をネオナチ組織と認めたものではない」と釈明。この日本の行動に対し、ロシア外務省のザハロワ報道官は、「日本はこれにより、アジアの中で(ロシア嫌悪の)一列目に立った」と強く非難している。
アゾフ大隊に関連する展示
会場にはNATOの攻撃性を示す風刺画や、映像・写真・解説のほか、ベトナム戦争で使用された米国製兵器の金属片からベトナムの人々が作った指輪など、一風変わった展示もある。広島・長崎への原爆投下について解説されたコーナーでは、長崎県知事からロシアに贈られた平和の像、子どもたちによって佐々木禎子さんの追悼のために折られた千羽鶴の一部、鶴をあしらった茶碗などが展示されていた。
広島、長崎への原爆投下に関する展示を撮影する女性
展覧会には多くの人が訪れており、学校教師の女性は「非常に有益でした。次は必ず子どもたちを連れてきたいと思います」と話した。家族連れで来た人は「おじいちゃんの誕生日にみんなで来ました。気に入ったみたいでよかった」と話した。
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