米国の研究チームが行った実験には、新型コロナウイルスの感染が始まる前の2017年から2020年に生まれた乳児が参加した。研究者らが、MRIを使って、生後数週間の脳の発達状態を評価したところ、貧困、犯罪など、環境的な要素は、まだ子宮内にいる胎児の脳の構造や機能に影響を与える可能性があることが分かった。
たとえば、貧しい生活を送っている母親の子どもは、より収入の多い女性の子どもよりも脳の体積が小さいことが分かった。またこれは、灰白質、白質の量にも関係した。このほか、貧しい母親の子どもは脳回の数が少なく、これは脳の発達がゆっくりであることを証明しており、今後の発達にも否定的な影響を及ぼす可能性があるという。
またその後、研究者らが、妊婦が住む地区の犯罪率が胎内にいる子どもの発達にどのように影響するかについても調査したところ、より危険な地区に暮らす女性が出産した子どもは、脳の構造―とりわけ感情の処理やコントロールに関する部分の接続が弱いことが判明した。これは子どもの心理的発達やその社会への適応力に影響を及ぼす深刻な異常であるという。
論文をまとめた研究チームは、貧困撲滅および犯罪率低下のための社会プログラムには、妊婦の支援を目的とした措置を含めるべきだと確信している。
妊婦の消毒液使用が、子どもの喘息や湿疹発症につながる恐れがあるというニュースは「スプートニク」の過去の記事よりお読みいただけます。
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