グローバルな自由のネットワーク
インデペンデント紙が伝えるところによれば、トラス外相は、新たな世界の安全保障のしくみの確立を呼びかけている。また、そのしくみでは、ロシアが拒否権を行使している国連安保理の役割をG7(主要7カ国)とEU(欧州連合)に移るようなものにすべきだとしている。さらにインデペンデント紙によれば、トラス外相は、NATOはその影響力を全世界に広げ、国際的な「自由のネットワーク」になるべきだとしており、それを目的として、西側諸国に対し、軍事予算を増大するよう呼びかけている。
トラス外相は、NATO加盟国は、集団的防衛力を強化するだけでなく、経済的な推進力も利用していかなければならないとの考えを示している。グローバル経済へのアクセスについて、トラス氏は、「これはルールに基づいたゲームに左右される。現在、ロシアや中国のような国はこのルールに従ってプレーしようとしておらず、そうした国々は『世界のシステムから排除されることになる』と言明した。
決裂の危機にある現在のNATO
一方、第41代米大統領、ジョージ・ブッシュ政権の下、国防副次官を務めたジェド・バビン氏は、NATOの将来についてそれほど楽観的な見方をしていない。オンラインマガジン「アメリカン・スペクテイター」に投稿した記事の中で、バビン氏は、NATO加盟国は自らの防衛に急いで資金を投じようとしていないと指摘している。バビン氏は、「ロシアがウクライナで特別作戦を開始したとき、ドイツのアルフォンス・マイス陸軍参謀長は、NATOの防衛システムの強化という意味で何ら提案できることはない、NATOの多くの加盟国または大部分の加盟国の軍が同様の状況にあると述べた」と書いている。
バビン氏は、ロシア国境付近での軍事演習の規模を拡大させ、新たな国を加盟させることによるNATOの復活を予言している専門家らの意見には賛同できないとしている。というのも、現在、NATO内部にはあまりにも多くの問題が存在するからである。その一例がトルコ問題である。バビン氏は、エルドアン大統領は「国を西側の価値観から逸れさせ、米国ではなく、ロシアにより近い立場をとるようになった」と指摘している。さらにバビン氏は、トルコがNATOから排除されれば、NATOはより強化されるだけだとの見方を示している。
英国労働党の元党首であるジェレミー・コービン氏が、すべての軍事同盟は解散すべきであるとして、NATO解散の必要性を訴えたというニュースは「スプートニク」の過去の記事よりお読みいただけます。
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