日韓関係、雪解けなるか?

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)新大統領の就任式に出席し、大統領と会談を実施した日本の林芳正外務大臣は、尹大統領が2か国関係の改善に向けて努力していく用意があると表明したことを明らかにした。両国関係は長きにわたり、戦時中のさまざまな問題をめぐる意見の相違により、緊張したものであり続けてきた。
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当初、新大統領の就任式に岸田文雄首相が出席するという案もあったが、日韓の間で続く対立を背景に、この提案は自民党内では支持されず、就任式には、首相の特使として、林外相が派遣されることとなった。
日本の外相が韓国を訪問するのは、2018年以来となるもので、このことは、日本政府が尹大統領について、文在寅前大統領に比べ、より交渉しやすい相手であると考えていることを証明している。
シンガポールの新聞「ザ・ストレーツ・タイムズ」は、まさにそうした理由から、外交史上初めて、林大臣が新大統領に手渡した岸田首相からの親書の内容を公開した可能性があると指摘している。
親書には、「日本と韓国はお互いにとって重要な隣国である」と記されている。
さらに、両国は会談の中でも、関係改善と戦略的協力の必要性を強調した。
とはいえ、これまで日本の韓国の関係を複雑なものにしてきたいくつもの問題が今なお未解決のままとなっている。もっとも深刻なものとしては、1910年から1945年にかけて、日本が朝鮮半島を植民地支配していた時期に、日本企業により強制連行され強制労働に従事させられたと主張する韓国人(いわゆる元徴用工)が日本企業に対して起こした裁判で、損害賠償の支払いを命じる判決が確定したこと、また同じ時期に、日本軍の監督下でアジアの女性が強制的に働かされていたいわゆる「従軍慰安婦」が挙げられる。
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このような決定に対し、2019年、日本は韓国に対する輸出制限を発動した。というのも、日本政府は植民地時代のすべての問題は1965年に締結された日韓基本条約で解決済みであると主張し、韓国はこの問題について取り上げるべきではないとの立場を示している。
また、こうした戦時中の問題に加え、日韓の間には、竹島(韓国では独島)をめぐる領土問題も解決されないままとなっている。
一方で、両国の立場が近い問題もある。日本の林外相は、記者会見で、核実験を繰り返す北朝鮮政権による地域の危険に対抗するため、日韓は連携する必要があると指摘した。また尹新大統領も、北朝鮮が新たな核実験を準備している可能性があるとの外交からの情報があるとして、朝鮮半島の安全保障分野の状況は深刻な事態となっていると述べた。
韓国の英字日刊紙「コリア・ヘラルド」は、就任式において、日本と米国との関係を強化していく意向を示した尹大統領が直面するもう一つの非常に重要な問題に注意を向けている。それは、外交政策において、米国とのより緊密な関係を目指すことにより、尹大統領は、文在寅前大統領が保ってきた米国と中国との関係のバランスを維持することができなくなるということである。つまり、尹大統領はその片方の国の側につかなければならなくなるのである。そしておそらくその片方の国とは米国であろう。
尹大統領が、就任後の最初の外遊先が米国であり、その次に日本を訪問すると公言したのにも重要な意味があるのである。
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