「反露主義は、政治、経済、さらには文化に至るまで、文字通り、日本社会のあらゆる『隙間』に浸透しはじめています。たとえば、日本のオーケストラはウクライナとはなんの関係もないピョートル・チャイコフスキーの作品を演奏しなくなりました。(人類に対し、膨大な数の犯罪を犯した)ナチス・ドイツの時代でさえ、ソ連では政治と文化を混同することはなく、バッハ、ベートーヴェン、加えてヒトラーのお気に入りの作曲家だったワーグナーの演奏を取りやめたりすることはありませんでした。さらに、日本の政治家やメディアは長年にわたって(原爆投下の記念日の直前ですら)、事実上、原爆投下の原因について『踏み込んだ』発言をすることはありません。米国がそれをおこなったという事実には触れないようにしています。そこで、死の兵器がまるで自然発生的に広島に落下したかのような奇妙な印象が出来上がっています。つまり、恐ろしい犠牲をもたらした非人間的な行動は米国が行ったものであるということを、日本政府は徹底して黙秘しているのです」。
「ラーム・エマニュエル新駐日米国大使が最近、岸田首相と共に広島を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花したのです。そこで、他でもない米国がこの悲惨な出来事に関与したということが、せめて一言でも触れられるのが自然だったでしょう。しかし、米国側からも日本側からもそのような謝罪はまったくありませんでした。この広島訪問の主な目的は、プーチンはウクライナで核による悲劇の脅威を生み出しながら『核のこん棒』を振り回している、と再び反露的な発言を行うことだったのです」。
「岸田首相は広島出身であり、広島から選出された政治家です。ですから、断固とした反露的立場を取ることで、出身地で点を稼ごうとしているのです。とはいえ、新型コロナ対策が功を奏していることから、岸田首相の支持率はそれでなくても上昇しています。しかしポイントを稼ぐのに多すぎるということはありません。ですから、現首相は、2023年のG7サミットを広島で開催することを実現するのに成功したのです」。