研究によって、過去100年間、化石燃料は常にCO2排出量の最大90%を占めていたにもかかわらず、エネルギー消費原単位当たりのCO2の排出係数は確実に減少していることが明らかになった。つまり、予測で世界人口が100億人に達する2100年には、世界のエネルギー消費量は石炭換算で280〜300億トンとなるが、この数値は現在よりわずか30〜40%増にすぎないことになる。
地理的要因と温暖化
ロシア人科学者たちは、エネルギー消費量は2100年までに600億トン、1000億トン、さらには2000億トンにまで増えるという世界の専門家の予測は、発展途上国が西欧諸国に並ぶ生活水準を達成するためにこれだけのエネルギーを必要とするという仮定に基づいているため正しくないと考えている。ただし、途上国とは異なり、先進国の多くは中・高緯度に位置しているため、エネルギー消費量の全体の最大40%が暖房に使われているという地理的要因は考慮されていない。だが、ここでも研究者たちが指摘するように、気候温暖化が進むためにエネルギー消費量は減少している。ロシアの科学者たちは、ロシアでは過去30年間にエネルギー消費量が10〜15%減少し、暖房用のエネルギー消費量も15〜20%減少した例を挙げている。
気候への黙示録的な影響は直に弱まり始める
10〜15年後、人類がCO2排出量のピークに達した時点でも、それが年間100〜110億トンを超えることはない。つまり現在の95億トンの排出量とほぼ変わりはない。論文の筆者は、これは、世界規模で再生可能エネルギーの占める割合が急速に高まっていることが要因だと説明している。排出量はピークを過ぎると、徐々に減少傾向をたどる。
ロシア人研究者らの見解では、化石燃料を完全に捨てなくても、温暖化の速度を抑えることは可能だ。最も効果的な方法のひとつとして、空気中の二酸化炭素を工業技術を用いて除去することがあげられている。 現時点では、このような施設は世界で26カ所しか稼動しておらず、それが除去できる容量は合わせても全排出量の0.1%程度に過ぎない。
イーロン・マスク氏が再生エネルギーにおける中国の達成を指摘した記事はここからお読みいただけます。
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