豪フリンダース大学の研究者らが今回、西オーストラリア州在住の5000人の網膜の画像と血液検査を調べたところ、血液検査でトキソプラズマ性網膜炎が確認されたのは8人。しかし、同大学のジャスティン・スミス氏によると、網膜病変の約4分の3は、病変が網膜の画像でも見えない位置にあることを考慮すると、網膜に病変がある149人のうち1人はトキソプラズマという寄生虫が原因だと推定できるという。
英国の医療専門家ジャイルズ・エドモンズ氏によると、生肉や加熱不足の肉を食べると、この寄生虫によって引き起こされるトキソプラズマ症になる可能性があるという。研究者らは、トキソプラズマ症が網膜に傷をつけることもあると指摘している。
トキソプラズマ症は特効薬がなく、世界の人口の約半数が罹患しているといわれている。妊娠中の女性の場合、子宮内の胎児の発育に影響を及ぼす危険性があることが知られている。しかし、視力への悪影響はこれまで真剣に研究されてこなかった。
スミス氏は、「肉を調理する際の熱処理の程度が目に悪影響を与える可能性があることを、誰もが認識しておく必要がある」と指摘している。
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