これまでの研究で、熱帯地方の海では捕食者の活動が活発になることが明らかになっている。これは、動物の体温が上がると代謝が促進されるためと思われている。一方で、このテーマを実証的に検討する研究は、比較的小規模なものにとどまっている。
今回の研究はこのテーマでは最大規模のものになる。研究チームは、アメリカ大陸の大西洋と太平洋沿岸(米アラスカからアルゼンチンのティエラ・デル・フエゴ州)の36カ所で捕食者の行動の観察を行った。
研究では、すべての地点の水中に棒に餌となる干イカをつけたものを沈め、その1時間後に棒を持ち上げて捕食者が餌を食べた量を推定した。研究チームが予想した通り、水温が高い海域では、捕食者は餌をより多く食べた。一方で、寒冷海域(マイナス55℃以下)では捕食者の数はゼロになる傾向にあった。海水温が上がると、多くの地域で捕食者がさらに多くの餌を食べる可能性があり、海水温度の上昇は生態系に大きな影響を与えることになる。
研究チームは、今後、赤道では何が起こるのか予測できないと指摘している。赤道では、現在観測されている水温よりもさら上昇する可能性があるためだ。これ以上温暖化が進むと、頼りになるデータがないため、温暖化の影響を正確に予測することは困難だという。
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