研究者らは、トレッドミルで運動させたマウスの血漿中の化合物を分析した。その中で特に重要な分子は、Lac-Phe(N-ラクトイルフェニルアラニン)と呼ばれる物質であることが判明した。この分子は激しい運動の後に血液中に現れ、筋肉痛の原因となる乳酸と、アミノ酸のフェニルアラニンから合成される。
そこで研究者らが肥満のマウスにLac-Pheを投与したところ、12時間にわたって食事摂取量が50%減少した。しかし、この処置はマウスの運動能力やエネルギー消費量には影響を与えなかった。そのマウスにLac-Pheを10日間投与し続けた結果、体重は1〜1.5グラム減少した。これは、肥満の人の場合、体重を数キロ減らすことに相当する。
また、Lac-Pheは、競走馬とヒトの運動後に有意に増加することが分かった。血中でこの物質が最も増えた運動は、ランニングだった。
この研究を行ったスタンフォード大学のジョナサン・ロング氏によると、運動がどのように体に影響を与えているのかを分子レベルで理解し、その恩恵を少しでも受けられるようにしたいと考えたのが研究を始めたきっかけだという。同氏は、Lac-Pheの研究、特に体への影響について研究を続けていく予定だという。
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