新型コロナウイルス

新型コロナによる「頭のもやもや」の理由が明らかに=豪研究

新型コロナウイルスの感染から回復しても、倦怠感や睡眠障害、息切れや味覚障害などの症状が長期間続くことがある。これらの後遺症のうち、「頭にもやがかかったような」症状などの神経疾患の原因をオーストリアのラ・トローブ大学の研究チームが明らかにした。この研究をまとめた論文が英科学誌「Nature Communications」に掲載されている。
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その研究によると、後遺症に苦しんだ患者の約30%に神経症状が現れているという。そのなかには記憶障害や錯乱(意識障害)、激しい頭痛、脳卒中までも含まれるという。こうした症状は回復後も約数ヶ月にわたって続く場合もある。感染者の脳にウイルスが侵入するという証拠はあるものの、神経症状が発生する詳しいメカニズムは明らかになっていない。
研究チームは新型コロナウイルス感染症が健康にもたらす影響と、アルツハイマーやパーキンソン病といった神経変性疾患の初期段階の症状との類似性を見出した。その類似性とは繊維状のタンパク質であるアミロイドが存在する点で、新型コロナの後遺症と関係がある神経系の症状は、新型コロナウイルスのタンパク質片(ペプチド)から生成される「ORF6」や「ORF10」といったアミロイドの蓄積が原因の可能性があることが分かった。さらに、これらのアミロイドは、神経細胞にとって有毒であることも明らかになった。
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チームは新型コロナウイルス感染症の患者の中枢神経系にアミロイドが蓄積することは十分にあり得るとみなしている。耐久性が高く崩壊しにくいこのアミロイド構造が感染後に中枢神経系に残るとすれば、新型コロナの神経系の症状の理由を部分的に説明することになるかもしれない。このアミロイドの蓄積は認知症の発展に関連する諸症状に似ている。だが、チームはこれがゆっくりと脳の損傷を進行させるものなのかについては結論が出ていないとしている。
もし、今後の研究でアミロイドの蓄積が新型コロナウイルス感染症の長期化を促進していると判明すれば、アルツハイマーやパーキンソン病などの薬を新型コロナによる神経症状に対する治療薬として活用できる可能性がある。
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