ペロブスカイト太陽電池は2009年に日本の研究者らが開発して以来、実用化に向けた取り組みが進んでいる。しかしこの太陽電池は、光が当たるとすぐに劣化し、徐々に電力の取り出しが悪くなるという問題を抱えていた。
中国・吉林大学のHongwei Song教授らは今回、天然の抗酸化物質であるリコピンを用いてこの問題を解決できることを突きとめた。この物質は、ローズヒップ、トマト、グレープフルーツなどのさまざまな赤い果実に含まれており、特に食品の着色料として使用されている。
研究者らによると、リコピンを添加することでペロブスカイトの酸化を食い止め、太陽電池の寿命を大幅に延ばせる可能性がある。この研究では、リコピンを添加していない場合の電池の効率は最初の2000時間で半減したが、リコピンを添加した場合は3500時間使用し続けても効率の平均値は92%を超えていた。
研究者らは、ペロブスカイト太陽電池が抱える問題は天然の物質を用いることで解決でき、この最新型の太陽電池を産業化するための道が開かれると指摘している。
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