ファデル・アルクドゥルさん(42)は2015年、シリアを離れドイツのケルンへ到着した。この時、列車から降りて最初に目に入ったのがケルン大聖堂だった。
イスラム教徒でありながら、アルクドゥルさんは大聖堂に親しみを感じ、すっかり魅了されたという。故郷で父親から彫刻を教わっていたこともあり、2019年、自分で撮りためた写真やスケッチをもとに、木彫りの制作に没頭するようになった。
ケルン市内にある小さな工房で制作を続けること2年半。父親から譲り受けた古い道具を使い、正確な図面もないまま、高さ約2メートル、幅1.4メートルの木彫りを作り上げた。
作品は現在、大聖堂の向かいにある建物で展示されている。アルクドゥルさんは、将来的にはドイツで彫刻家として生計を立てていけるようにしたいと考えているという。