記事で長谷川氏は、日本はロシア、中国、北朝鮮など核武装した独裁国家に囲まれていると指摘している。「地政学的リスク」といえば、従来は中東、バルカン半島など東欧を指していたが、今や日本は「世界で最も危険な発火地帯」の震源地にいる。
ウクライナにおけるロシアの軍事行動と、それに対する米国と北大西洋条約機構(NATO)の反応は、日本政府に明確なシグナルを送っている。長谷川氏は、これから先どんな紛争が起きたとしても実際に戦うのは現地軍であり、米国は後方から支援するだけだと述べている。同氏によると、米国がウクライナに米軍を派遣しないのは、ロシアの核兵器を恐れているためだ。従って、米国は台湾に米軍を派遣しない可能性がある。長谷川氏は、米国はロシアの核兵器を恐れるが、中国の核兵器は怖くないと考える理由はないと痛烈に指摘している。
長谷川氏によると、米シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授が米国の新しい国際関係モデルを説明している。ミアシャイマー氏の考えでは、米国、ロシア、中国などの大国は、世界制覇を目指しているのではなく、地域覇権を維持すること目指しているという。したがって、米国にとって重要なのは、アジア太平洋地域と欧州、中東の湾岸地域に対する支配権。米国はそれらの地域における支配権を守るために、すぐに米軍を派遣するのではなく、その地域で派遣維持の責任を負うことになる。米軍が敵対行為に参加するのは、最後の手段でしかない。
長谷川氏によれば、米国は、台湾や尖閣諸島周辺で有事が起きた際もこの国際関係モデルのように動くだろうと指摘している。この場合、戦闘は台湾軍と日本の自衛隊に任せ、米国は後方支援に徹する。つまり、有事の際火だるまになるのは、米国ではなく、日本と台湾だ。
バイデン米大統領は米国が台湾を守るという発言を繰り返したことで、米国がそのようにするはずだと思っている日本人は多い。しかし、長谷川氏は戦うことになるのは台湾と日本だと強調している。そして、台湾の危機はそのまま日本の危機となる。だから、今の日本は危険なのだと長谷川氏は説明している。
この長谷川氏の記事に対する読者の反応は様々だ。Yahooにコメントを残した「****」さんは、米国は日本を守るために軍隊を投入することはない、という長谷川氏の考えに同意している。
「米軍の支援について日本人が勘違いをしているのは台湾問題だけじゃない。仮に日本が中露から攻め込まれたとして、一時的に自衛隊が防衛をして時間を稼げばあとは米軍が援軍を出してくれると思い込んでいる人が多い。もっとはっきり言えば中露と正面から戦うのは米軍であって日本は後方支援くらいのつもりの人も多いのでは?冷静に考えればわかることだけどそんなことはあり得ない。米軍兵士が日本のために自らの命を犠牲に戦う事はまず無い。あくまでも後方支援だけ。核の傘を貸すと言っても日本に核攻撃されたからと言って米国が自国に核攻撃される危険性を冒してまで核で反撃するとはとても思えない」
「 h_s*****」さん は、防衛費を増やし、いかなる侵略も自力で撃退できるよう武器や軍隊を真剣に準備することを求めている。また、ウクライナ紛争でどんな兵器が有効なのかを調べることも提案している。
最も好戦的なコメントを残したのは「acc*****」さんで、日本は核を独自開発する必要があると訴えている。
「核を持っている独裁国家を西側諸国は誰も止められない事がわかった以上、日本は 地位学上、核を独自開発する必要があります。 GDP2%の防衛費の中に核開発費用を入れる必要があります。 島国日本だからこそ核を使用される確率は他の国より高いはずです。 台湾有事は6年以内に起こるとアメリカの国防省が言っているように日本も4年以内に 核を開発する必要があります。 生温い防衛はお金の無駄ですよ。 若い世代の日本人は決断して欲しい」
一方、「dmf*****」さんは、日本の地政学的なリスクよりも日本そのものの弱体化を懸念している。
「地政学的リスクは今に始まったことではない。 非現実的だった中国の台湾侵攻がロシアのウクライナ侵攻によって投資家の目に現実的に映り円売りが加速した側面は確かだろう。 だが根本的な原因は日本国の基本力の低下だ。 経済、軍事、環境、外交などのバランスがアメリカ一辺倒の政策により、崩れだしてきている事を投資家はよく見ている。 半導体、金融はアメリカに抑え込まれ、自国防衛さえも出来ず、EUにより環境政策も追い込まれ、外交はアメリカべったり。 リスクに見合った国力どころか、弱体化に向かっているのが今の日本だ。 少子高齢化の中で限られた力を分散するよりは、数点に絞り強化をした方が成果を得やすく道筋を描きやすい。 その為には日本に蔓延る既得権益と戦える政治家を国民は見分けるべきだ」
関連ニュース