1990年、旧ソ連初のマクドナルドがオープンし、プーシキン広場のカフェの前には大行列ができた。そのため、ロシアに初めてハンバーガーが登場したのは90年代と考える人は多い。
開店日のマクドナルドの行列(1990年モスクワ)
© AP Photo / Alexander Zemlianichenko
しかし、ファーストフードの定番メニューであるハンバーガーは、旧ソ連では1930年代から知られていた。
旧ソ連のハンバーガーは、スターリン政権下で最高指導部の地位にあり、旧ソ連時代の著名な政治家であったアナスタス・イヴァノヴィチ・ミコヤン氏に関係する。同氏は補給人民委員や食品産業人民委員、外国貿易人民委員などを歴任した。
1936年、当時食品産業人民委員であったミヤコン氏は米国を訪れ、そこで彼は「ハンバーガー」を販売する店を目にした。店にはハンバーグを焼く機器があり、店員が薄く切った白パンにそれを挟んでいた。ミコヤン氏は、このシンプルなホットサンドに感動し、1日に200万個のハンバーガーを生産できる機械25台を注文、さらにその製品を加熱する調理器具とバンズ製造工場も購入した。
1937年、モスクワとレニングラード、バクー、ハリトフ、キエフといった大都市の通りに電気またはガスのコンロを備えた店が設置され、旧ソ連初のハンバーガー「ホットモスクワカツレツ」の販売が始まった。
しかし、当時のロシア人にはファーストフードはなじまず、白パンは口にしないで、ハンバーグを麦やジャガイモと一緒に食べていた。白パンとハンバーグを組み合わせた味を人々が試し始めたのは、90年代に本物のマクドナルドが登場してからのことになる。
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