ヴャチェスラフ・ボロディン下院議長は新法の採択について、並行輸入によって希少なオリジナル商品のロシア市場の飽和を助けるとともに、並行輸入で商品をロシアに持ち込む者を刑事および行政責任から保護できると説明している。
法改正でロシア産業貿易省は、権利者の同意なしにロシアへの輸入を許可する、つまり制裁が回避される商品リストの承認が可能となった。これにはApple、XBox、Playstation、ポルシェ、ジャガーなどのブランド製品が含まれる。
並行輸入許可商品リストに入った自動車およびその部品には、ポルシェ、ジャガー、ボルボ、ベントリー、現代自動車、日産、フォルクスワーゲンテスラ、ランドローバー、ジープ、ジャガー、クライスラー、キャデラック、シボレー、ダッジ、ハマー、ローバー、GMC、フレイトライナー、ピータービルト、ケンワースが入った。またスマートフォンではApple、ASUS、HP、パナソニック、 サムスン、ノキア、ソニー、 Intelが、家電では Electrolux、ミーレ、シーメンス、ダイソン、ゲーム機器ではX-Box、プレイステーション、任天堂がリスト入りした。化粧品、楽器、武器弾薬、鉄道機関車、時計、製造機器もまた並行輸入が許可される。
「並行輸入」の仕組み
これまでメーカーはロシアの正規代理店に商品を販売し、その代理店がそれを大手ショップに送っていた。だが現在は数種類の商品に制裁がかかっているため、正規の代理店を通した輸入品の供給と、並行輸入の両方が混在している。この場合、小売業者はメーカーのロシアの正規代理店からではなく、メーカーから商品を購入した外国の中小企業から商品を購入し、そうした並行輸入は生産国から来る場合と第三国を経由する場合と二通りある。小売店は最初に商品を購入した後はどこでも権利者の許可なく販売できるため、メーカーの許可は必要ない。こうした並行輸入の商品は「グレーグッズ」と呼ばれるものの、模倣品ではなく、必要なライセンス、品質証明書を備えており、通関検査に合格している。
ロシア以外の国での並行輸入の状況 日本は?
日本における並行輸入は一定の要件を満たすのではれば、合法とされている。Jetro によれば、日本でブランド商標が登録されている場合、商標権者は当該登録された登録商標を使用する権利を占有し、原則として商標権者の許諾を得ないで行われるブランド商品の輸入販売は商標権の侵害に当たる。ただし、並行輸入の様々な判例では、一定の要件を満たす場合、並行輸入は商標権の侵害に当たらないという法的判断が通説だ。
米国、カナダ、英国、ブラジル、トルコで機能している並行輸入の原則が今度はロシアで2022年3月から適用された。ロシア当局がそれまで並行輸入を拒否していたのは外国企業の投資魅力を高めるためだったが、今回それが再開されたのは、国民に人気の外国製品の品不足を回避するのが目的である。
スプートニクはこれまで、日本がロシアとの互恵的関係の廃止を続行していると報じてきたが、今回、日本は研究技術協力においてもロシアとのコンタクトの制限へ踏み切る意向を表した。
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