このビールを試しに買ってみたという同国在住のチュウ・ウェイ・リアンさん(58)は、「これがトイレの水でできていることなんて、(言われなければ)全く分かりませんよ。冷蔵庫にあれば、飲んでもいいですけどね。普通のビールと同じ味だし、ビールは好きですから」と語っている。
「NEWBrew」は、尿や生活排水などの下水をリサイクルした同国の飲料水のブランド「NEWater」を使用して製造された。「NEWater」は下水を紫外線で殺菌し、高度な膜で汚染物質を除去したものであり、シンガポール国営水道局によると、この新しいビールは、持続可能な水の利用とリサイクルの重要性についてシンガポール国民を教育する取り組みの一環であると説明している。
イスラエルやシンガポールなど、水資源に恵まれない先進国では、こういった水の再利用に関する技術を導入している。米国のロサンゼルスや英ロンドンなどの都市でも、この動きに続く計画が検討されている。
Brewerkzの醸造部門の責任者ミッチ・グリボフ氏は、「NEWaterは、味がニュートラルなので醸造にぴったりだ。水に含まれる成分は、醸造中の化学反応に重要な役割を果たすからだ」と語っている。
そしてシンガポールでは、「NEWBrew」の最初の製造分がBrewerkz系列のレストランですでに売り切れており、スーパーでの在庫も7月末にはなくなる見込みだという。同ビールメーカーは、市場の反応を見極めてから、今後の製造分を決定するという。