6月8日、米テキサス州のLNG基地「フリーポート」で火災と爆発が発生し、操業が停止した。部分的な操業開始は10月上旬になるとみられている。
同紙によると、日本が調達するLNGの約9%がロシア産で、そのほとんどを「サハリン2 」が占めている。日本政府は天然ガスへの制裁は行わず、「サハリン2 」の権益を維持する方針を示してきた。
ロシアは、ウクライナをめぐる情勢で対露制裁を発動した日本に対し、その対抗措置として、ロシアのプーチン大統領は6月30日、非友好国の行動に伴う燃料エネルギー分野における措置の適用に関する大統領令に署名した。大統領令は、「サハリン2」プロジェクトの事業主を新たに設立されるロシア法人に移行し、この新法人に現行の事業主サハリン・エナジーの権利と義務を譲渡することを定めている。
外国企業はこの新会社設立から1ヶ月以内に、ロシア政府が提示する条件に基づき、新会社の株式取得に同意するかどうかを知らせる必要がある。日本の商社は権益を維持する必要があるとの方針を示しているが、日本側が新法人の株式取得を求めてもロシア政府が同意するかどうかは分からない。
日本企業がLNGをスポット(1回の取引ごとに成立する市場価格)で購入する場合、その価格は、長期契約価格で「サハリン2」からLNGを輸入する場合に比べて約2.5倍になる。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「(スポットで3倍の価格で購入した場合)日本の輸入費は年間で1兆円程度増加し、名目国内総生産(GDP)を0.2%程度押し下げる」と分析している。
輸入費の増加は、すでに2021年より1〜3割高くなっている日本の電気・ガス料金のさらなる値上げにつながると予想される。
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