安倍元首相の訪問時に複数回にわたり会見した、アルチョム市のアレクサンドル・アブデーエフ元市長は次のように回想している。
「安倍晋三氏は日本の首相として、ウラジオストクの東方経済フォーラムに訪れた際、いつもアルチョム市を訪問し、戦後この地で亡くなった日本兵捕虜の慰霊を行っていました。我々は日本の伝統に即して、菊の花と紅いカエデを植えました。白樺の木もありました。安倍氏はこの慰霊碑の保存が両国民のお互いを尊重する精神に基づいているとみなし、活動を高く評価していました」
また、アブデーエフ元市長は、温厚で礼儀正しかった安倍元首相の人となりを思い返す。
「安倍氏はとても温厚で、気取らない屈託のない微笑みが印象的でした。彼は当時日本の首相であったにも関わらず、沿海州の小さな町の市長だった私に尊敬の念を表し、対等に話してくださった。回を重ねるごとに私達の面会はますます温かいものになっていきました」
アブデーエフ元市長によると、安倍元首相との最初の会見の際はとてもオフィシャルなものだったが、距離を感じることはなかった。最後の会見となった4回目にはお互いほほえみ合い、握手を交わした。通訳を通して1対1で5分ほど談笑したこともあったという。
また、アブデーエフ元市長はアルチョムの記念碑の模型を安倍元首相にプレゼントしていた。その際に安倍元首相と撮影した記念写真は今でも思い出として残している。
「安倍元首相はロシアやロシア国民に対し肯定的な思いを持っていて、関係発展を望み、友好関係を歓迎していた。このような悲劇が起こり、とても残念だ。ショックなニュースだ。とてもいい方で、素養のある政治家だった」
このように述べ、安倍元首相の突然の死を悼んだ。
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