「今世紀において、スリランカはラジャパクサ一族が牛耳ってきました。中国がプロジェクトを提案してくれば、その資金の一部はラジャパクサ一族の懐に入ってきました。中国は、ラジャパクサ一族がもともと持っていた『汚職文化』を強化してしまったのです。日本の場合は海外に援助するとき、税金を使うわけですから、現地での需要はもちろん、日本人にもプロジェクトの合理性を納得してもらわないといけません。すると決定に時間がかかります。日本は中国と比べて提案してくるプロジェクトの価格が高く、地元政治家への恩恵もありません。すると、中国の方がスピーディで柔軟だ、日本より中国と仲良くしたほうがよい、となってしまうわけです。また、中国は教育、文化交流分野を含め全方位的に活動しています。医大にスリランカ人学生を受け入れたり、優秀な中高生を無償で短期の語学留学に招待したりするなどの結果、中国語熱が高まっています。」
「まずは国際通貨基金(IMF)との交渉です。今のスリランカは、借金返済以前に、日々の燃料や電気が足りず、生きて経済活動をしていくためのお金をまずなんとかしなければいけません。もうひとつは大統領の権限を弱めるための憲法改正です。国民は、今の危機を招いたのは、強すぎる権力を持った大統領が、誤った経済政策をしたからだと思っています。実はスリランカでは政権交代のたびに憲法が改正されているので、大統領権限を弱めるには、以前の憲法に戻せばよく、技術的には難しくありません。誰が大統領に選ばれ、その人物がどれだけの支持を集めて、これらのことを実行できるのかが、情勢を左右します。」
「日本が行うべきは、市民生活や経済活動が活発化し、雇用や輸出が増えるような、効果が期待できる援助です。そして次世代につながる人材・職業教育も必要です。今すぐ役に立つわけではありませんが、スリランカの将来的な経済発展には欠かせないと思います。それらは良識のある、透明性の高いものでなければなりません。」