世界農業遺産は、人類によってもたらされた環境破壊や企業参入による農業の工業や寡占への反省として、FAOが食料安全保障や社会・文化的価値、生態系の維持などの観点から注目に値する農林水産業を行っている世界の地域を登録するもの。これまでに日本からは静岡の茶草場農法や和歌山・南紀地域の梅栽培などが登録されている。
琵琶湖地域は稲作とともに行われてきた伝統的な漁法が評価された。FAOは人々が繁殖地を守りながら乱獲を防ぎ、持続可能な漁業を実現していると指摘している。また、高度経済成長期以降、人口の増加や都市化の進行といった試練に直面したものの、農家や漁業者のほか消費者などが一丸となり、伝統的な手法を将来世代に受け継ごうとしているとしている。
山梨県の山梨氏、笛吹市、甲州市にまたがる峡東地域は、伝統的な果実栽培が評価された。名産のぶどうは少なくとも800年以上にわたり栽培されているといい、ほかにも梅や梨などが有名だ。FAOは家族経営の小農家が丹精なマネジメント技術によって、小さな栽培面積であっても土地生産性を高めて生計を維持している点が特徴的で、世界的に見ても傑出していると指摘している。
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