ロシアを含む多くの欧米の研究者らは今回、過去10万年にわたる古代オオカミ72頭のゲノムを分析した。サンプルはヨーロッパ、シベリア、北米から集められたものだったが、分析の結果、現代のイヌにつながる祖先が2つあることが分かった。
この研究に参加したロシア科学アカデミー・ウラル支部のパーヴェル・コシンツェフ上級研究員は、「古代のオオカミの少なくとも2つの集団(東ユーラシアと西ユーラシア)の子孫が生き残り、現代の犬につながっている」と説明している。
「東ユーラシア」のオオカミの集団は、シベリア、アメリカ大陸、東アジア、北東ヨーロッパに生息していた古代の犬の祖先であることが判明した。そして、「西ユーラシア」の集団は、中東やアフリカの犬の祖先と、新石器時代以降のヨーロッパの犬の祖先につながることが分かった。つまり、古代のヨーロッパの犬は、その地域のオオカミと他の地域のイヌと交雑している可能性が高い。
現段階では、現代の犬の共通の祖先は見つかっていない。研究チームは現在、今回の研究範囲には含まなかった南アジアのイヌのルーツに関心を見出している。コシンツェフ氏は、「もしかしたら、この地域(南アジア)に共通の祖先に関する答えが見つかるかもしれない」と述べている。
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