通常、AIは白紙の状態からスタートし、多くの様々な事例を持つデータで学習させ、そこから知識を構築していく。しかし、赤ちゃんや幼児はそうではなく、原則的な期待値、つまり目の前にあるものが突然消えることはないとか、固い物は仕切りを通り抜けることはできないなどの物理的な側面の理解に基づいて学習していく。
現在のAIは、こういった直感的な物理の理解において、幼い子どもたちと比較にならないほど劣っている。そこで、米プリンストン大学の研究者らは、幼児と同じように物理の側面を理解させるAIシステムを開発した。
研究者らはAIシステムに、ボールが地面に落ち、跳ね返り、その後ボールが他の物体の背後に消え、再び現れるという動画を使ってトレーニングを行った。その結果、AIシステムは28時間という短時間で学習し、物体がどのように動くかをより正確に予測できるようになった他、より少ない数の例でも学習できるようになった。研究者らによると、このパフォーマンスは、予想を大きく上回るものだったという。
研究者らは、今回の開発は、幼児と同じ前提で課題に取り組むことで、人間の心を模倣したより優れたAIモデルを構築するのに役立つとみている。
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