プーチン大統領はイランで開催されたアスタナ・フォーマットの会談後に行われた記者会見で、ロシアがエネルギー危機で批判されているのは正当かとの質問に答えた中でこのように説明した。
「ウクライナは自国領内を通過するルートのうち、一つを封鎖すると発表した。この封鎖について、ガスの供給に必要な施設が自国ではなく、ルガンスク人民共和国の管理下に置かれたことを理由としていた。しかし、その後判明したところによると、この施設がルガンスク人民共和国の管理下にあったのは数ヶ月前のことである。ウクライナ側はこれを制圧し、封鎖してしまった。 全く根拠もないままに。すべては順調に機能していて、誰も邪魔はしていなかった。それを制圧し、政治的な思惑から封鎖したのだ」
ウクライナは5月11日、ルガンスク人民共和国の管理下に置かれた天然ガス・パイプラインを封鎖した。その結果、ウクライナ領を通過して欧州に供給される天然ガスのパイプラインは残り一つとなった。ロシア国営企業「ガスプロム」によると、ウクライナ領を通過して欧州に供給される全ての天然ガスを残ったパイプラインに切り替えることは技術的に不可能だという。
先にロシアはバルト海を経由して欧州に天然ガスを供給する「ノルドストリーム」の運用方法を変更した。パイプラインの運用に必要な独シーメンズ社製のタービンは先にカナダに輸送され、メンテナンスを受けていたが、西側の制裁により、このタービンをロシアに返却することが不可能なったことが理由。これによりロシア側は6月中旬、欧州に供給する天然ガスの量を40%にまで削減したほか、定期点検を理由に7月11日から21日にかけて稼働を完全に停止させた。露紙コメルサントによると、カナダは7月17日、このタービンをドイツに空輸した。ロシアには24日にかけて空輸される見通し。ただし、西側ではタービン返却後もロシア側がガスの供給を再開させない可能性があるとの懸念が広がっている。
関連ニュース