2000年から2020年にかけて、中国はスリランカ政府に約120億ドル(約1兆6330億円)を貸し付けたが、そのほとんどは一連の大型インフラプロジェクトであり、その後、コストがかかりすぎて採算がとれなくなった。スリランカは、中国政府の評論家が「債務の罠」と呼ぶ中国の外交に陥った。2020年には、既存の債務の返済を援助するため、中国から30億ドル(約4149億円)のソフトローンを受けている。
4月から5月に暫定的にスリランカの財務大臣を務めたアリ・サブリ氏は、「限られた準備金を使用して、予め債務を組み直す代わりに、すべての準備金を使い果たすまで債務を支払い続けた」と語った。
国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ常務取締役は以前、中国以外の主要な債権国は日本とインドだと語っている。同氏は、アジア訪問中にこれらの国々と現状について話し合い、近い将来、スリランカに対し財政支援措置を取ることを望んでいると述べた。
これより前、スリランカ議会は、大統領代理のラニル・ウィクラマシンハ氏を新大統領に選出した。
スリランカは現在、1948年の独立以来最悪の経済危機を経験しており、巨額の対外債務と外貨準備の慢性的な不足という問題を抱えている。新型コロナウイルスのパンデミックにより観光客の入国は制限され外貨が不足。その結果、燃料を十分に調達できない事態になっている。新型コロナウイルスの流行は、同国の重要な外貨獲得源である観光業に打撃を与えている。
過去20年間で、スリランカの対外債務は3倍になり、現在は510億ドル(約7兆449億円)と推定される。国内では食料や生活必需品、燃料、ガスなどの深刻な不足が発生し、2022年6月の国内の消費者物価は2021年に比べて54.6%高騰している。
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