状況は暴動に変わり、いくつかの場所では、銃撃へと発展した。この地域では民族紛争がさらに複雑化している(コソボの主な住民はアルバニア人だが、北コソボではセルビア人が過半数を占めている)。 コソボ当局は特殊部隊を国境に結集させた。セルビア人は主要幹線道路に集まり、コソボ警察が制圧するのを妨害するためにバリケードを組み始めた。
セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、コソボでの緊張が緩和されることを期待し、そのために同国政府は出来るすべてのことを行うと表明した。
西側諸国が話し合いを呼び掛けたが、コソボ当局は、セルビア語のプレートと書類を使った入国禁止措置を9月1日まで1カ月延期した。(なぜこの一時的な措置が危険なのか。以下のロシア連邦の対応を参照ください)
コソボについて知っておくべきこと
コソボは 2008 年に一方的に独立を宣言。 まず、米国と欧州連合(EU)諸国が独立承認を表明した。
ロシアとインド、イラン、中国など60カ国以上と、EUの5カ国(ギリシャキプロス、スロバキア、ルーマニア、スペイン)がコソボの承認に反対している。
セルビアはコソボの独立を認めておらず、自国の領土の一部と見なしている。
ロシアの対応
コソボでの事態で最初に国際的な対応を行ったのはロシア政府だった。ロシア外務省は、コソボとその背後の米国政府とEUに対し、挑発を止め、セルビア人の権利を尊重するよう呼びかけた。
実際、9月1日まで禁止を延期するという決定は、8月31日にコソボ情勢の新たな激化を引き起こすおそれがあることを意味すると、ロシア外務省は指摘した。
ウクライナと台湾はどう関係しているか
コソボとセルビアの関係悪化は、米国と中国の間でのエスカレートが背景にあるが、その原因は、中国政府がその領土の一部と見なしている台湾に、米国のナンシー・ペロシ下院議長が訪問する可能性があることによる。これに先立ち、中国は防空ミサイルシステムHQ-22をセルビアに提供し、コソボとの軍事衝突のリスクを高めるとして、西側諸国に懸念を引き起こした。
オンラインニュースマガジン「The Diplomat」は、ウクライナでのロシアの軍事作戦の開始により、セルビアは、コソボの非承認問題で中国という重要な同盟国を失ったと強調した。
中国はまた、コソボを承認しないという立場を堅持し、セルビアは中国政府に同盟者を見つけることができた。この場合、米国政府はこれまでコソボを支持してきたため、中国はこの地域で米国との対立を予想するだろう、と報道は指摘する。そこには欧州で2番目の規模となる米軍基地が存在する。