訪問先「日本」:ペロシ下院議長の訪問はどういう結果になるのか?

米国のペロシ下院議長は7月30日、マレーシア、シンガポール、韓国、日本への歴訪を開始した。ペロシ氏の動向を文字通り全世界がリアルタイムで追っている。特に注目を浴びたのが、一部の国は国家として承認しているが、中国はその領土の一部としている台湾への訪問だ。ペロシ氏の公式サイトに掲載されたメッセージでは訪台について言及されていなかったが、ペロシ氏は台湾訪問を実行した。ペロシ氏が乗った専用機の台湾着陸を30万人以上が文字通りリアルタイムで見守った。米下院議長による台湾訪問は25年ぶりとなった。中国は、ペロシ氏が台湾を訪問した場合には深刻な結果を招くと米国側に繰り返し警告した。中国は航空会社に台湾の空域を回避するよう通知し、8月4日から台湾周辺で軍事演習を行うと発表した。
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一方、ペロシ氏の専用機が台湾に長くとどまることはない。
ペロシ氏の次の訪問先は韓国。韓国側はペロシ氏の訪韓に非常に冷静な態度を示した。聯合ニュースが韓国大統領室を引用して報じたところによると、韓国の大統領は現在休暇中であるため、ペロシ氏と面会する予定はないという。

「ペロシ氏の訪韓日程は当初から大統領の休暇と重なったため、大統領との面会はプログラムに含まれていない」

韓国は、4日にソウルで予定されているペロシ氏と金振杓(キム・ジンピョ)国会議長との会談が成功することへの期待を表明した。
なお、ペロシ氏の日本訪問は、実際に二国間関係の強化を世界に示すことを目的としているようだ。日本の松野官房長官は3日の記者会見で、ペロシ氏の日本訪問について次のようにコメントした。
「ペロシ下院議長の訪日は旭日大綬章を受章された2015年以来7年ぶりであり、日米間の議会交流を含む人的交流をさらに強化するものとして歓迎する」
現在、ペロシ氏の訪日中の日程や会談相手について調整が行われているという。
報道によると、ペロシ氏は4日夜に日本に到着し、5日に岸田首相と朝食会を行う可能性がある。一方、松野官房長官は記者会見で正確な日程やその他の詳細について明らかにしなかった。日本メディアは、ペロシ氏は5日に岸田首相や細田衆院議長らと面会する方向で調整しており、台湾情勢などについて意見を交わす見込みだと報じている。
情報筋によると、所謂「ロシアのウクライナ侵攻」や太平洋における中国の活動の高まりも話し合いのテーマになるとみられている。
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ペロシ氏の台湾訪問を背景に、中国は、日本の排他的経済水域(EEZ)を含む台湾周辺海域で実弾射撃訓練を実施すると発表した。また、航空会社に台湾の空域を回避するよう通知した。
航空会社には、2日夜遅くに公式通知が送られた。台湾周辺の6空域が「危険空域」として設定されたという。飛行制限が適用される期間は4日12時から7日12時まで。
日本当局はこれに反応を示した。松野官房長官は3日の記者会見で次のように述べた。
「台湾海峡の平和と安定はわが国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要だ。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、わが国の従来からの一貫した立場だ。このような観点から、中国側が発表した一連の軍事活動については、わが国として懸念を有しており、改めて両岸問題の平和的な解決を強く促したいと考えている」
報道によると、台湾に近い沖縄県与那国島の漁協は、軍事演習に関する情報が関係機関から得られていないとしたうえで、漁業者に対し注意を呼びかけることにしているという。
また、東京外国為替市場にも影響が出ている。3日の東京外国為替市場で円相場は一時3円以上値下がりしたが、ペロシ氏と台湾の蔡英文総統の会談を受け、米中対立への懸念から円を買い戻す動きも出ていると報じられた。
中国当局が挑発行為だと指摘するペロシ氏の訪台は、それでなくてもかなり緊張している太平洋地域の状況を悪化させている。アジア歴訪の一環としてのペロシ氏の台湾訪問が、日本にとって新たな頭痛の種になるかどうかは、時間と今後の二国間対話によって示されるだろう。
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