「NATOはコソボに介入の用意がある」=ストルテンベルグ事務総長 セルビアをけん制

北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は3日、セルビアのアレクサンドル・ブチッチ大統領と会談し、緊張が高まるコソボ問題で対話による解決を求めた。一方、事態が悪化した場合のNATOによる軍事介入の可能性も示唆した。
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1999年、NATO軍は当時のユーゴスラビア連邦共和国(現在のセルビアとモンテネグロ)内のコソボ自治区の独立運動が高まった際、ユーゴスラビア側がコソボ自治区で民族浄化を行っていると一方的に主張し、国連安保理の決議を得ることなくユーゴスラビア空爆を実施。この空爆では87人の子どもを含む2,500人以上が死亡し、被害総額は1億ドルに達した。以来、NATOは治安維持を目的としコソボに軍を駐留させている。
コソボとセルビアが軍事衝突の危機? その原因とは
2008 年にコソボはセルビアからの独立を一方的に宣言。 日本を含む欧米諸国は独立を承認しているが、ロシアや中国など世界60カ国以上は承認していない。セルビアはコソボの独立を認めておらず、自国の領土の一部と見なしている。
2022年7月31日以降、コソボ側がセルビアとの境界の検問所を閉鎖し、両者の緊張はエスカレート。その原因はコソボ領内で、セルビア語で記された書類が禁止されることになったことなどにあり、一部では銃撃へと発展するなど一触即発の事態となっている。
この日の会談でストルテンベルク事務総長はセルビア、コソボ双方の建設的な対話を求めた。一方で、「安定性が失われる危機になれば、国連の委託を根拠としてNATOのコソボ治安維持部隊を介入させる用意がある」とも表明し、セルビアをけん制した。
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