萩生田経済産業相は5日、三井物産の堀健一社長と午前中に面談し、「前向きにご検討いただきたい旨、私自身からお伝えした」ことを明らかにした。三菱商事にも同様の趣旨を伝えており、近々面会する予定とのこと。
萩生田氏は「日本企業の権益を守り、LNGの安定供給が守られるよう、官民で一体となって対応していきたい」と述べ、権益を維持していく考えを改めて強調したほか、ロシア側への対応について「現段階で詳しい参画への条件は確認がとれていない。厳しい条件が出てきたときは企業と一緒に考えなければならないが、今の段階では予断をもってコメントする段階でない」と発言した。
ロシア政府は3日、日本企業も出資する露極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、現行のオペレーター「サハリン・エナジー」に代わる新事業主の設立を決定したと公表した。決定文書は2日付。今後、日本側は新会社が正式に発足してから1ヶ月以内に、現行の割合で株式取得に同意するか否かをロシア政府に通知しなければならない。
新たな事業主の名前は「サハリンスカヤ・エネルギヤ」で、現行の「サハリン・エナジー・インベストメント・カンパニー(Sakhalin Energy Investment Company Ltd)」の英語名からロシア語名に変更。現在は大西洋の英領バミューダに本社を置いているが、新しい本社は露サハリン州の州都・ユジノサハリンスクに設置される。「サハリン・エナジー」の代表のアンドレイ・オレイニコフ氏は新事業主となっても代表を務める。
ロシアのプーチン大統領は7月1日、「サハリン2」の事業主を新たに設立されるロシア法人に移行し、これまでの運営会社「サハリン・エナジー」の資産、また権利や義務を移すことを定める大統領令に署名した。事業に出資する外国企業は、新事業主の発足から1ヶ月以内に出資を継続するか、株式を売却するかの決定を迫られている。
現行の「サハリン・エナジー」には、ガスプロムが50%プラス1株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%それぞれ出資。天然ガス生産量の約6割が日本向けとなっている。両社および日本政府は、「サハリン2」への参加がエネルギー資源の安定供給につながるとの判断から、出資継続の意向を強調していた。