7月20日、英国のクワシー・クワルテン商務長官が、原子力発電所の建設を承認した。 同プロジェクトの費用は200億ポンド(約3兆2659億円)で、その大部分はフランスのエネルギー会社EDFが投資することになっている。同企業は、新しい発電所が英国の電力需要の7%を供給し、60年間稼働できると表明した。プロジェクトにもとづき、1995 年に始動したサイズウェルBに隣接して、2基の原子炉を備えたサイズウェルC原子力発電所が建設されることになる。
新しい原発の何が問題?
環境活動家は、原子力発電所の建設が水不足に苦しんでいる地域の給水システムにとって脅威になると考えている。建設予定地の海岸は浸食や暴風雨、洪水などの被害を受けやすい。専門家は、原発の廃棄物を保管する恒久的な貯蔵施設を建設しなければ、 新しい原子力発電所を稼働させることは不可能であることから、この施設の建設は2040年代の終わりになると指摘する。
原発建設に反対する人々は、発電所のコストが高いこと、とりわけ、電気料金の値上げによって賄われることになると指摘している。
社会運動「Together Against Sizewell C」のローワン・スミス弁護士は、「我々のクライアントは、大臣が独立した検査機関によって考え抜かれた合理的な判断に反し、違法となりうる方法で建設の承認を与えたことにショックを受けている」と述べ、「もし大臣が自分の間違いに気づかないなら、私たちはこの問題を裁判所に訴えることになる 」と強調した。
現在、英国では6基の原子力発電所が稼働しており、同国の電力の約16%を賄っている 。EDF社は英国でもう1基、「ヒンクリーポイントC」という原子力発電所を建設中で、2027年の運転開始を予定している。