フォーブス誌のデータによれば、サウジの国有石油企業アラムコの2022年の第2四半期の純利益は昨年の同時期比でほぼ2倍に増加した。
これは、EU(欧州連合)がロシア産の石油とガスの禁輸を決め、制裁体制に対する違反で罰金を払いたがらない取引業者や保険会社を破産させるような条件を作ったことが原因である。その結果、気候変動問題に善処するドイツさえもが、電力供給の中断を避けるため、石炭の使用に回帰せざるを得なくなったとフォーブス誌は指摘する。またフォーブス誌は、2022年12月までに、欧州におけるガス価格が60%上昇し、2008年の危機のときよりも高い価格である1000立方メートルあたり4000ドル(およそ54万7300円)に達する可能性があるというロシア国営ガス企業「ガスプロム」の声明を引用、紹介している。というのも、ロシア国営企業に対する制裁発動によって、欧州市場へのガスの供給量は36%も減少したからである。
一方、米国の行動について、フォーブス誌は、ジョー・バイデン大統領のサウジアラビア訪問は、外交的な勝利ではないとしている。その理由については、OPECプラスの小幅増産(日量10万バレル)のために、米国は自国の戦略的利益に損害を被り、サウジへの攻撃兵器売却禁止という自らの約束を解除することになったからだと指摘している。
そこでサウジアラビアは米国から、レイセオン製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」300基を、30億ドル以上(およそ4109億円)で調達する。
さらに、フォーブス誌は、サウジアラビアは、この小幅増産による効果は長くは続かないと考えていると指摘し、2023年も石油価格の高騰は止まらないとの予測を示している。フォーブス誌によれば、ロシア産石油の輸入を中止するという欧州の決定は、石油の調達ルートを変更させたに過ぎないと書いている。サウジアラビアは世界市場への石油供給量を増やしたが、同時に、ロシア産の資源を国内需要のために輸入している。
このようなスキームによって、2022年第2四半期のロシア経済の落ち込みはわずか4%にすぎず、結局、ロシア経済は西側が予測していたような深刻な停滞には陥らなかった。
しかも、ロシアは、中国への石油輸出で、サウジアラビアを抜いて1位となったほか、インドもロシア産石油の輸入を、ほぼゼロから日量76万バレル以上にまで引き上げたとフォーブス誌は強調している。
石油輸出国機構(OPEC)の事務局長がガスと原油の価格上昇の理由は、石油・ガス産業への投資不足にあると発言したというニュースは、「スプートニク」の過去の記事よりお読みください。
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