松野官房長官は記者の質問に答える形で「『サハリン2』は我が国のエネルギー安定供給の観点から重要なプロジェクトであり、権益を維持する方針は今後も変わらない」としたうえで、「三井物産と三菱商事に対しては、経済産業大臣が前向きに検討するようお願いしたと承知している」と明かした。
ロシアの新会社に参画するかについては両社で総合的に検討されているとし「現時点で参画の同意を困難にさせるような新たな条件が提示されたとは聞いていない」「引き続き状況を注視しつつ、具体的な対応を検討していく」と述べた。
スポット価格高騰と長期契約
「サハリン2」は日本のLNG(液化天然ガス)輸入量の約9%を占め、また日本国内の総電力発電量の3%を占めている。LNGは日本の複数企業との長期契約により比較的安価で供給されている。最も長期なところでは2033年まで契約がある。
8月22日付のCMEグループのJKM指数(Japan Korea Marker Plattsは日本、韓国、中国、台湾向けLNG輸出価格を反映)によると、アジアのスポット市場におけるLNG価格は100万BTU(British Thermal Unit、英国熱量単位)あたり60ドル(約8240円)を上回り、これは昨年水準の3倍に相当し、夏季の記録更新となった。価格上昇の原因は市場の競争激化、特に世界最大のLNG輸入国である日本と韓国が冬季を控えガス備蓄量を増やそうとしていることにある。
これら条件の下、長期契約による調達はスポット価格高騰において「救世主」の位置づけだ。