ジョンソン首相は今年4回目のウクライナ訪問で、EUによるキエフ政権への軍事的、経済的支援の必要性を訴えた。ロシャ氏は、この発言が出たのは欧州各国でエネルギーや食糧の価格が上がり、EUの状況が悪くなってきたときと時期的に重なると指摘する。
ロシャ氏はジョンソン首相の立場は「疑念を抱かせる」としている。というのも、ジョンソン首相はウクライナの政治家ではないのに、最近の言動をみるとウクライナの公務従事者かのように振る舞っているからだ。また、ジョンソン首相はウクライナ情勢が悪化してからというもの、欧州首脳陣のなかで最も強硬に和平を否定し、紛争継続に力を注いでいる。
いくらジョンソン首相が自らをウクライナの「守護者」と見せかけようとしても、実際は「ロシアの対戦者」であると考えていると、ロシャ氏は続ける。だが、英国とロシアは「最後まで敵同士ではない」かもしれない。それは、弱いEUは英国にとって好都合だからだ。
「EU離脱後の英国にとって、強いEUは全く利益とはならない。だから、ウクライナ紛争はちょうどいいタイミングで始まったのだ。事態は完全に英国の思い通りに進んでいるとは言い難いが、いざとなれば大西洋の向う側にある同盟国がいつでも救ってくれる。EUはというと、トンネルの終わりの光が見えない状況に陥っている」
ロシャ氏は英国がEU加盟国であったときでさえ、「トロイの木馬のように振る舞い、とても全体の利益を考えている国には見えなかった」としており、今回のウクライナ紛争においてもジョンソン首相ら英国指導部は「便利な可能性」を利用していると指摘する。
「ロンドンはウクライナ紛争でEUが負けてくれたらそれで十分なのだ」
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