環境大惨事を招いた英国の責任について仏の政治家らは、英国はこれまでヴィクトリア女王時代の古風な下水システムを近代化する時間も資金も見つけられず、処理が必要な汚水は雨水と同じ配管を通っており、大雨や冠水によりあっという間に下水道が氾濫すると指摘。洪水が発生した場合、古い下水道は人間の排出物などを含む余剰水を直接、河川や海洋に放出してしまうと同紙は説明する。
しかし問題は老朽化した下水システムの設計だけではない、と同紙は強調する。英国では水道会社に対して、海洋放出前の排水処理義務を免除する法律が存在する。この規定は欧州環境規制に関する文書に矛盾している。同文書には英国もEU加盟時代に署名している。仏の政治家らは欧州環境委員会に宛てた書簡の中で「私たちが英国とともに利用する海水の質に関して、同時に海洋の生態多様性、漁や甲殻類捕獲についても悪影響を危惧している」と警告をしている。
フィガロ紙は、英国は複雑なジレンマ状態にあると指摘する。仏やEUからの圧力により、英国政府は「健康および環境への損失防止」の道筋を探らねばならない。政府の見積では、下水道近代化には約560億ポンド(約7兆7400億円)の投資が必要であり、それにより国民は年569-999ポンド(約7万8700-13万8100円)の水道使用料値上げを強いられることになる。自由民主野党は英国人の財布を打撃することはさせないという姿勢だ。こうして英国政府は批判の板挟みにあい、その間も英国人と仏人はイギリス海峡で保養し、排水の中で泳いでいる。
スプートニク通信では以前にも英国の排水システムをめぐる問題について取り上げた。つい先日もロンドン下水からポリオウイルスが検出されている。
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