10時間にわたる特別会議、紙幣と国歌の変更、新国王による国民への演説 英国では他に何が待ち受けているのか?

英国では8日(日本では9日未明)、女王のエリザベス2世が崩御した。同国では9日、庶民院と貴族院(上下両院)が女王の死去に哀悼の意を示す特別議会が開催される。この議会は10時間にわたって開催される。またこの日、英国の新国王に即位したチャールズ3世は、英国民に向けて最初のスピーチを行う。この演説でチャールズ3世は、君主としての姿を世界に示すことになる。英紙「ガーディアン」は、在位70年以上という英国で最も長く君主を務めた女王の時代が終わったことで、英国民の日常生活に影響を与える事柄について報じている。
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国歌

国歌は、最も簡単に変更できる事柄の1つだ。英国の国歌は『女王陛下万歳(God Save the Qeen)』で、「God save our gracious Queen…」という歌詞から始まるが、チャールズ3世の即位により、『国王陛下万歳(God Save the King)』に変わり、歌詞も「God save our gracious King…」に変更されることになる。

英国内の警察署で掲揚される旗や、将軍が乗船する際に英海軍の艦上で使用される旗には、エリザベス2世の紋章である「EIIR」が刺繍されているが、今後、数千枚にもおよぶこの旗のデザインが変更されることになる。また、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、英国王が国家元首を務める国々には、国旗の専門家が「Eフラッグ(Eはエリザベスの頭文字)」と呼ぶ、エリザベス女王が訪問する際に使用する個人用の国旗がある。 また、ロイヤル・スタンダード(君主が居住する場所で掲揚される旗)のデザインも変更される可能性がある。この旗には女王の紋章と英国の国章がデザインされているためだ。
エリザベス2世、数多くの記録を残した女王

紙幣と硬貨

現在、女王の顔が描かれた紙幣は45億枚流通しており、これは総額800億ポンド(約13億円)に相当する。この紙幣のデザインを新国王のものに変更するには、少なくとも2年かかる可能性がある。チャールズ3世の顔を描いた新しい紙幣・硬貨のデザインは、バッキンガム宮殿と議論し、決定するとみられる。エリザベス女王の顔は、カナダの20ドル紙幣、ニュージーランドの硬貨、東カリブ海の国々の中央銀行や他の地域の英連邦が発行するすべての硬貨と紙幣に描かれている。

祈りと忠誠の誓い

エリザベス女王は英国国教会の「信仰の擁護者であり、最高統治者」だった。1662年に改定された「聖公会祈祷書」には女王の祈りが記されている。その一節には、「女王が常にあなたの意志に気持ちを向け、あなたの道を歩むことができるように、あなたの聖霊の恵みを女王に新たに満たしてください」という神への祈りが記されている。これらは、新国王のための祈りの言葉として修正される可能性がある。
英国の国会議員は、王冠に忠誠を誓わない限り、庶民院(下院)の会議に出席することも、議論することも、投票することも、給与を受け取ることも許されない。議会では新国王に配慮した文言が適宜変更され、国会議員は新国王に忠誠を誓うための新たな宣誓を行わなければならない。
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英連邦の加盟国

女王の崩御は、英国の君主を国家元首として承認している英連邦の一部の国々(14カ国)にとって、深刻な出来事だ。 多くの場合、それらの国々の憲法では、エリザベス2世が国家元首であると記されているため、憲法を改定する必要がある。これに関連して、英連邦の一部の国々(ベリーズやジャマイカなど)では、国民投票が必要となる場合がある。
またこの14カ国では、国家元首の件以外にも憲法の文言には女王の名前が多く登場しているので、憲法の見直しを行う必要がある。
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