同紙によると、地中から採掘された石炭は高温でも均等に燃え、保存も安全にできるのが特徴だ。一方で細かく粉砕された石炭は、空気中で爆発する危険性が高く、炭鉱での爆発事故にもつながることが知られている。
今回、南京科学技術大学の研究者らは、こうした石炭の粉末の起爆能力を利用しエンジンに生かそうと思いついた。エンジンのモデルを使って地上で行われた実験では、粉末状の石炭をエチレンと混ぜ、燃料として使用した。すると、起爆した際に火炎の最前面から燃焼が伝播する速度が秒速2キロメートルと、音速の約6倍となった。
石炭粉末を利用した超音速エンジンの実験
© 写真 : Nanjing University of Science and Technology
重要なのはエンジンの起動実験は異なる温度帯、酸素の供給不足などの様々な条件下で行われたという点だ。いずれの条件でも安定して起爆し、エンジンを起動させることができた。つまり、この石炭粉末を利用するタイプのエンジンは、様々な速度、高度での超音速飛行にも役立つということを意味する。これまで通常の超音速エンジンを持った飛行機ができなかった低速での離着陸も、石炭粉末を利用したエンジンでは可能になるという。
石炭は中国の産業界で最も使われている燃料。石炭粉末で動く超音速エンジンが実用化できれば、従来のものと比べ燃料効率が約20パーセント上がるといい、将来の超音速飛行のコスト低減も期待されている。
関連ニュース