セックスの免罪符? 統一教会から枝分かれの韓国新興宗教 教祖・鄭明析にどんな罪状?

韓国のキリスト教系の新興宗教「摂理」(別の名称では1999年より「キリスト教福音宣教会」の創設者、鄭明析(チョン・ミョンソク、77歳)が香港在住の女性を強姦し、オーストラリア人女性に強制わいせつを働いたとして起訴された。鄭明析はこれまでも同様の性犯罪を犯したとして訴えられている。
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「摂理」とはどういう新興宗教か?

「摂理」は1980年に創設された韓国の宗派。創設者の鄭明析は自分はイエス・キリストの再臨で、メシアだと自称している。同年、「摂理」は統一教会から離脱。摂理の基本的な教えは「30個論」と呼ばれる未公開の訓戒。これは統一教会の「原理講論」に酷似している。「摂理」の教えの一つに、救世主(この場合は宗派の指導者、鄭 明析のこと)に「会わない」者は天国に行けないというのがある。
「摂理」も統一教会と同様に「完全な聖書の時代」の到来を説いている。「摂理」は神と人との関係を、花嫁と花婿、あるいは恋人同士の関係になぞらえている。「摂理」の信者には、原罪はエヴァがサタンの化身の堕天使と性的関係を持ったことによって引き起こされており、これを洗い落とすには鄭 明析と性的関係を持たねばならないと説得される。
この運動はオーストラリアをはじめ、世界50カ国以上に広がっている。鄭明析自身も1970年代には統一教会の信者だった。

教団創設者の犯罪

2022年3月、「摂理」をよく糾弾する反カルト団体が記者会見を開き、この中で2人の外国人女性は2018年から2021年にかけて鄭 明析から性的虐待を受けたと主張した。
司法が捜査しているのはこの2人の原告に関する事件のみだが、反カルト団体は他にも3人の女性が鄭 明析を訴えようとしているとの情報を掴んでいると主張している。
一方で「摂理」の教徒の大半は、鄭 明析被告は無実で証言は全て捏造されたものだと信じている。
鄭 明析(チョン・ミョンソク)
被害者のオーストラリア人女性はオーストラリアのニュースサイト「News.com.au」からのインタビューで、2018年に忠清南道、月明洞にある教団本部を訪れた際に鄭明析に恥辱を受け、レイプされたと明かしている。当時、彼女は27歳、鄭は73歳だった。
「摂理は正義の宗教ではなく、本物の犯罪者、レイプ犯罪者を支援する組織です。これはおかしい。こんなことが続けらえていいはずありません」被害者の女性はこう語っている。
鄭明析は、香港など海外での説教ツアー中に「摂理」の信者3人を強姦した罪で10年の刑期を果たしている。中国で逮捕され、韓国に強制送還され、2009年に収監された後、2018年2月18日に刑期満了で釈放された。
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