同紙によると、第1のシナリオは「核による報復」の道。モスクワを含むロシア全土に核戦争を仕掛けるというものだ。ただ、これは西側とロシアの全面核戦争の引き金を引くことを意味するため、専門家もこうした可能性には懐疑的だ。
モスクワやサンクトペテルブルクを核攻撃するということは、ニューヨークやワシントン、ロンドン、パリも灰燼と化すことを覚悟しなくてはならないのだ。いくら米国やNATOでさえ、ウクライナのためにそこまでのリスクを冒すとは考えにくい。
第2のシナリオとして、特殊軍事作戦が行われている地域でのロシア軍前線部隊を通常兵器で攻撃するというもの。仮にロシアがウクライナで核使用した場合、欧州のNATO諸国にも放射線が降り注ぐことになるため、これを同盟への攻撃と拡大解釈してロシアに戦争をふっかけようとするプランだ。
第3のシナリオはロシア黒海艦隊を叩くというもの。また、4つ目はロシア軍の船や部隊などを限定的に精密攻撃するというものだ。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこのごろ、ロシア領に先制核攻撃を行うようNATOに呼びかけた。これを受け、国連報道官は「核兵器の使用に関する議論は一切受け入れられない」と反発。その後、ウクライナ大統領府は「先制的な制裁」という意味での発言だったと釈明し、火消しに追われている。
また、ロシア外務省はロシアが核兵器を使用するという憶測は反露プロパガンダに他ならないと表明。一方で、核抑止力の維持、及び国家安全保障に関する措置を発動する際、NATOにロシアへの先制核攻撃を行うよう要求したゼレンスキー大統領の発言を考慮するとしている。
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