ロシア国家親衛隊の司令官の話では、数日前、高速モーターボート10隻に乗り組んだウクライナ軍戦闘員らがドニエプル川左岸への突破を試みた。司令官によると、ドニエプル川は実質的には左岸全域で防衛が強化されており、敵の戦闘員らの上陸を阻止するため、あらゆる手段が講じられている。
スプートニクの記者はザポロジエ原発の防衛線の最前線の取材で完璧な防御が築かれた要塞を視察し、ウクライナ軍がザポロジエ原発とエネルホダル市の最重要インフラに砲撃している事実を報じた。砲撃の標的となっているのは原発の発電所の技術・管理棟、火力発電所、エネルゴマッシュ工場で、複数の工場ですでに機器が致命的な損傷を受けた。地元当局の発表によると、無人機から狙い撃ちする形で空爆が行われている。
これに先立ち、ザポロジエ州議会のウラジミル・ロゴフ議員は、ウクライナ軍がザポロジエ原発の奪取計画を変更したと指摘していた。
「ウクライナ政府はこれまでは、カホフカ貯水池の北部と北東部にあるニコポリ、マルガネツ、ベレンコエ方面からドニエプル川に攻撃をかけようと何度も試みていた。だが、何も実を結ばないことを悟って計画を変更し、今度はドニエプル川を下流に下がった貯水池の西部、北西部、南西部に兵力を集中させている」ロゴフ議員はスプートニクにこう語った。
9月2日、特殊作戦部隊と外国人傭兵250人以上による2組のグループが42隻のボートに乗り組み、カホフカ貯水池を渡ってエネルホダルとドニプロドノエ側の沿岸からの上陸を試みた。これにロシア空軍は空爆を行い、20隻のボートを殲滅。残党はウクライナ側の管制する沿岸の方向へ逃亡した。
ザポロジエ原発はドニエプル川左岸のエネルホダル市に隣接する地点に位置している。同原発はエネルギーブロックの数、発電容量ともに欧州最大。3月からロシア軍の統制下にある。ロシア外務省は原発を統制下においた措置の目的について、核物質や放射性物質の持ち出しを回避するためと強調していた。ウクライナ軍は、エネルホダルおよび隣接するザポロジエ原発の敷地へ定期的な砲撃を続けている。