新型コロナウイルスの世界的大流行が始まった当初、研究者らは出生率が大幅に低下すると予測していた。実際に、米国では2020年7月1日から2021年7月1日の1年間における人口増加率が0.1パーセントと建国史上最低の水準にまで下落。だが、経済回復とリモートワークの普及がこの流れを変えている可能性があるという。
全米経済研究所が米国疾病予防管理センター (CDC)のデータを分析したところ、2021年の合計特殊出生率は、コロナ禍前(2015~2019年)と比べて6.2ポイントも上昇していた。2020年のコロナ禍による緩やかな出生率低下と2021年の上昇を合わせても、米国ではコロナ禍の間に46000件出生数が純増したという。
一般的に不況の際は出生率が低下するもので、コロナ禍で世界経済がダメージを受けている際に起こった今回のミニ・ベビーブームは予期せぬ現象だ。論文の共同執筆者で米ノースウェスタン大学教授のハンネス・シュワント教授も「この不況は、出生率の上昇が観測できる初めてのケースだ」と指摘している。
論文ではリモートワークによって家庭で過ごす時間が増えたことが、出生率の上昇にある程度貢献した可能性を示していると指摘されている。だが、コロナ禍やロックダウンで人工妊娠中絶を受けにくくなったなど、その他の要因が影響しているとも考えられるため、ミニ・ベビーブームの理由の説明にはさらなる研究が必要になるという。
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