「米国の核兵器現代化、核使用のハードル下げる」=露外務省が懸念

ロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官(副大臣)は29日、ロシアが軍事計画を策定する際に、欧州における米国の核兵器の更新や北大西洋条約機構(NATO)の核戦力編成を考慮に入れると表明した。
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これまでに米政治専門紙「Politico」は米国が欧州のNATO基地における核弾頭「B61-12」の配備を進めるなど核戦力の現代化を加速させたと報じていた。
グルシコ外務次官は次のように述べている。

「我々は欧州の核兵器の現代化を無視することはできない。米国は核兵器の精密性を上げ、威力を弱くしている。つまり、これは核兵器を『戦場の兵器』と化そうとする動きで、核使用のハードルを下げるものだ」

核兵器は運用方法や使用目的にあわせて、おおまかに2つのカテゴリに分けられる。
1つ目は相手の人口密集地や軍事基地などの戦略的な目標を破壊する「戦 略核兵器」。厳密な定義はないものの、一般的には高威力の核弾頭を使うもので、長距離弾道ミサイルや潜水艦発射型ミサイルなどで運搬する。米ソ冷戦の枠組みでは、お互いがワシントン、モスクワを狙い合い、自分が撃てば相手も撃ち共倒れとなること、いわばお互いの国民や都市を人質に取ることで戦略的安定性を保った「相互確証破壊」の理論によって核抑止体制が確立された。
2つ目は「戦術核兵器」で、前線の戦闘で敵部隊に対して使用するもの。 核弾頭の大小は関係ないものの、一般的には戦略核兵器よりは低出力とされる場合が多い。グルシコ次官は、米国の核兵器の現代化が「戦略核兵器」から「戦術核兵器」への転換を狙ったもので、より衝突のリスクを高める危険な動きだと指摘しているのだ。
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