このキャンペーンへの参加者は、自分が死去する際に、助けを必要としている同国人へ臓器提供を行う同意書を提出する。パレスチナ人の臓器移植に対する認知度を高めることを狙いとしており、これによって重態の人に健康で満足のいく生活を送るチャンスを贈ろうするキャンペーン。
移植で開けた新たな人生
「死者の世界から帰ってきた」角膜の提供を受けたガザ地区在住のラミイ・アブダリハイヤ・ムハラムさんは、再び視界が開けた喜びをこう描写している。
「2年前に失明してからというものの、あらゆる扉をたたき、様々な治療手段を探してきました。そんなある日、保健省から電話が入り、ドネーションの提供を受けたのです。イスラエル人の急襲で亡くなった少女、ミスク・ナセル・アブヌルさんからの提供でした」
ラミイさんの夫、ムハンマド・ユセフさんはこれに感化され、自分も死後の臓器提供の同意書にサインをしたと語っている。
15年続いた苦しみ
ムハンマド・アブ・ヴァルダさんは保険省の新プログラムで角膜移植が行われる前、15年間は暗闇の中で暮らしていた。
「私のドナーとなったのはシャケル・イブラギム・ダッブルさんです。彼はガザ地区での軍事作戦でイスラエル国防軍の兵士に殺されました。私の両目にダッブルさんの角膜が移植されています。手術は成功し、私は再び目が見えるようになりました。奇跡のようです」
ヴァルダさんは、保険省のこのキャンペーンで何百人もの人に病気で完全にあきらめていた元通りの生活を送ることができる希望が湧いたと語っている。
保健省のキャンペーンが始まる前は、ガザ地区で移植されていた角膜は年間20〜30個にも満たず、しかもそれらは海外のドナーから調達されていた。1回のオペレーションにかかるコストは4000ドルから5000ドルで、費用は、国ではなく、患者自身が負担していた。
監視の問題
ガザ地区のパレスチナ保健省のスポークスマン、アシュラフ・アルカドラ氏の話では、不正が行われ、臓器が闇市場に流れる危険性さえあるため、これを避けようと保健省が自ら献体プロセス全体を監視している。
ガザ地区だけでも角膜移植を必要とする人は350人、腎臓移植は1130人が待っている。
「臓器提供の普及促進プログラムがなければ、そのほとんどの人を助けることはできない。これが、私たちが行動を起こすきっかけとなった」
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